英語を教えていると、「助動詞のmayとmightの使い方やニュアンス、違いが分からない」と質問を受けることがあります。このようにあまり理解できていないという方も多いのですが、実際mayとmightは日常会話でもよく出てくる助動詞の1つであり、これらをマスターすれば飛躍的に英語力がアップします。
この記事では、mayとmightの基本的な意味と使い方から違い、そして英語力UPのための頻出表現まで網羅的に解説していきますので、ここでマスターしてしまいましょう!!
目次
may/mightを使った文章の型
まず、may/mightの使い方から解説します。
may/mightは両方とも助動詞ですので、次のような文章の型になります。
助動詞であるので、may/might自体は変化せず(maying, mayed等のように活用はしない)、後には動詞の原形が置かれるということに注意しましょう。
助動詞 may
それでは、文章の型が分かったところで、助動詞mayの意味を解説していきます。まずはポイントを確認しましょう。
①許可・容認 「~してもよい」
②推量 「~する可能性がある」
③祈願 「~しますように」
①許可・容認を表すmay
1つ目の意味は、「~してもよい」という許可を表す意味です。
この意味では、「相手に対して許可を与える」か、「自分が何かをする許可を乞う」場面でよく使われます。
相手に対して許可を与える場合
この意味では、立場が上の人が、立場が下の人に対して許可を与えるというニュアンスを持ちます。否定文にした場合、「~してはいけない」という禁止の意味を表します。
同様に許可を与える表現に、助動詞canがあります。canを使った場合は、立場関係なく相手に対して「~していいよ」という許可を与えることができるという点で、mayと違いがあります。
例文を見てみましょう。
You may leave now.
もう帰っていいよ。
例えば上司が部下にこう言ったと想像すれば分かりやすいですが、立場が上の人が下の人に対して、許可を与えるというニュアンスをもちます。
日本語訳を見ると、友達のような関係でも言えそうな感じがしますよね。ただ助動詞mayを使って「~してもよい」と言った場合は、このように立場が上の人が下の人にたいして言っているニュアンスになることを覚えておきましょう。
canを使った場合、次のような文章になります。
You can leave now.
もう帰ってもいいよ。
canを使った場合、立場に関係なく、相手に対して「~していいよ」と許可を与えるニュアンスになります。例えば友達同士でも、部下から上司にでも使うことができます。
もう少しmayを使った表現を見てみましょう。
Your friends may borrow my car if they need.
必要であれば、あなたの友達も私の車を使ってよいですよ。
こちらも同じく、立場が上の人が下の人に権限を与えるニュアンスです。例えば親が子供に対して言う場合ですね。
You may get off work early tomorrow.
明日仕事を早く終わってもいいですよ。
こちらも上司が部下に言う場合などが想像できます。
何かをする許可を求める場合
自分が「~してもいいですか?」と相手に対して許可を求める際には、"May I ~?"という表現が良くつかわれます。
この質問を受けた回答としては、"Yes, you may.(いいですよ)"、"No, you may not.(ダメです)"、"Sure.(いいよ)"などが使われます。
似た表現として"Can I~?"や"Could I~?"がありますが、これらの表現よりも"May I~?"の方が丁寧です。
例文を見てみましょう。
Ellen: May I use your bathroom?
Ellen: お手洗いを借りてもいいですか?
Diane: Sure. Go ahead.
Diane: ええ、どうぞ。
mayを使って許可を得る場合、すごくフォーマルな印象があります。例えば学校で生徒が先生に対して許可を乞う場合、よくmayをつかいます。
May I have your name, please?
あなたの名前を伺ってもよろしいでしょうか。
こちらも、ビジネスなどフォーマルな場で使うニュアンスが感じられます。
②推量
現在の可能性
mayは、「~する可能性がある」という推量の意味も表すことができます。現在や未来のことについての可能性を表します。
例文を見てみましょう。
The rumor may be true.
そのうわさは本当である可能性がある。
この文章では、「うわさ」が 「本当」であり得るという意味を表します。つまり、その「うわさ」が「本当」になる力を秘めている、可能性を秘めているという意味ですね。
もう少し例文を見てみましょう。
There may be other problems.
他にも問題があるかもしれない。
You may run into him tomorrow.
あなたは明日彼にばったり出会うかもしれない。
He may be sick.
彼は体調が悪いのかもしれない。
これらは可能性を表していますね。
過去の可能性 「~したかもしれない」
mayは、「~かもしれない」という現在もしくは未来の可能性を表します。
"may have + 過去分詞形"という形を使うことで、「~だったかもしれない」という過去についての可能性を表すことが可能です。
例文を見てみましょう。
She may have told the truth to her boyfriend.
彼女は、彼氏に対して本当のことを言ったかもしれない。
My mom may have called me yesterday.
私のお母さんは昨日私に電話をかけてきたかもしれない。
このように、過去についての可能性を表現するときにmay haveという表現を使うことを覚えておきましょう。
譲歩を表す 「~かもしれないが、・・・」
もう1つ重要なポイントとして、「~かもしれないが、・・・」という譲歩を表す文章に使う場合も多いです。こちらも例文を見てみましょう。
He may read a lot, but he is not that smart.
彼は本を多く読むかもしれないが、彼はそんなに賢くない。
このように、「~かもしれない」ということを認めたうえで、「でも・・・」という反対の事実を述べるのが譲歩です。
こういった文章も、日常会話でもニュース記事でも出会うことがよくありますので、覚えておきましょう。
③祈願
少し形式ばった表現にはなりますが、「~しますように」という祈願の意味もmayで表現ができます。
"May S V~"という型を使います。
例文を見てみましょう。
May you have a long and successful marriage.
永く、幸せな結婚生活をお祈りしています。
それほど使う機会は多くありませんが、たまに見る表現ですので覚えておくことをおすすめします。
助動詞 might
次に、mightについて意味を見ていきます。こちらも意味と用法のポイントを先に確認しておきましょう!
①許可を求める 「~してもよいですか」
②推量 「~する可能性がある」
③mayの過去形
mightは、mayの過去形です。ただ、couldがcanより丁寧な表現になるように、mightもmayより少し丁寧かつ控えめなニュアンスになります。
また必ずしも過去を表すわけではなく、現在のことについてもmightで表現することが可能です。
では、mightの意味を見てみましょう。
①許可
mayと同様、"Might I~?"という表現を使うことで許可を求める表現をすることが可能です。
相手に対して許可を与える表現をmightでは表すことができません。
例文を見てみましょう。
Might I take a look at the picture?
その写真を見ても良いでしょうか?
このように、疑問文にすることで相手に許可を求める表現をすることが可能です。
ただ、この形は実際にはあまり使われることはなく、基本的には"May I~?"という表現を覚えておけばよいでしょう。
"You may"と同じように、"You might"という表現を許可を与える意味で使うことができません。許可を与えるのではなく、相手に対して控えめに何かを勧めたり、提案したりするときに使うことができます。
You might like to stay here today.
あなたは今日ここに滞在したほうがいいかもしれません。
また、少し怒り気味に「~してもいいんじゃない?」という提案を行う時にもmightを使うことがあります。
例文を見てみましょう。
◆状況:Joeが付き合っている彼女をTimに紹介しました。Timは彼女のことが大嫌いのようで、あからさまに嫌いだという態度を示しています。それに対してJoeがTimに対して苦言を呈しています。
Joe: You might at least pretend you like her.
Joe:すくなくとも、彼女が好きだというふりをしてもいいじゃないか。
Tim: I can't stand that woman!
Tim: あの女は我慢ならないんだ!
*pretend: ~のふりをする
②推量
現在の推量
mayと同様、mightも「~かもしれない」という推量・可能性の意味も表すことができます。
mightはmayよりも可能性が低いニュアンスも含みますが、基本的には特に違いがないと思って大丈夫でしょう。
例文を見てみましょう。
She might come here a bit earlier.
彼女はここに少し早めにくるかもしれない。
She might be tired from cleaning her apartment.
彼女はアパートを掃除して疲れているかもしれない。
He might not buy a present for you.
彼はあなたに対してプレゼントを買わないかもしれない。
このように、「~かもしれない」という可能性を表します。
過去の可能性を表す
might have + 過去分詞形 という形を使うことで、「~したかもしれない」という過去についての可能性を表すことができます。
例文を見てみましょう。
He might have dropped by my office yesterday.
彼は昨日私のオフィスに立ち寄ったかもしれない。
*drop by: ~に立ち寄る
I might have been out of town then.
その時私は町を出ていたかもしれない。
He might not have sent the letter.
彼はその手紙を送らなかったかもしれない。
③mayの過去形として使う場合
時制の一致等で、mayの過去形を使う必要がある場合にmightがつかわれます。
例文を見てみましょう。
He said he might do it.
彼は、それをするかもしれないといった。
"He said"が過去形なので、彼が言った中身も過去形にする必要があります。
この場合、He said he may...ではなく、mayの過去形を用いて、He said he might...という形にします。
このように、mayではなくその過去形を使う必要がある場合にも、mightは使われます。
MAY vs MIGHT 違いを比較!
mayとmightにはいくつか違いがあります。ここではその共通点と違いについて、先にポイントとしてまとめておきます。
①may/might両方とも可能性を表す
②may/might両方とも許可を求める時に使える
③mayのみが許可を与えるときに使える
④mayのみが禁止をするときに使える(may not)
⑤mayのみが祈願の意味を表す
①どちらも可能性を表す
上で解説した通り、mayとmightはどちらも「~かもしれない」という可能性を表します。
現代ではmayとmightはそれほど意味に差はなく、どちらも同じような意味で使えます。
例文を比較しましょう。
He may be sick.
He might be sick.
彼は体調が悪いかもしれない。
これはどちらもほとんど意味を表します。
mayの方がmightよりも可能性が高いと解説する方もいますが、現代においてはほとんど可能性において差はなく、同じように使えると考えておいてよいです。
ただ、人の解釈によってはmayの方がmightより可能性が高い(mayが70%とすればmightは40%くらいの可能性)と感じる人もいるので、ここは柔軟に解釈していくことが重要です。
②どちらも許可を求めるときに使うことが可能
mayとmightは両方とも、疑問文にすることで許可を求める表現にすることができます。ただし、mightの方はあまり使わない表現です。
次の文章を見てみましょう。
May I use your car?
Might I use your car?
あなたの車を使っても良いでしょうか?
これらはどちらも、相手に許可を求める時に使う丁寧な表現です。
ただ、mightを使った表現はあまり聞かない表現なので、普段使う表現としてはmayの方を覚えておけばよいでしょう。
③許可を相手に与える場合には、mayを使う
mayだけが、相手に対して「~してもよい」という許可を与える表現にすることができます。
例文を見てみましょう。
You may smoke in my office.
あなたは私のオフィスでタバコを吸ってもいいですよ。
この場合、次のようにYou might~という表現を使って同じ意味は表せないことに注意です。
× You might smoke in my office.
→文法的にはOKだが、「~してもよい」という許可を与える意味にはならない。
④禁止を表す場合には、may notを使う
mayは否定文にすることで、禁止を表すことができると説明しました。
この「禁止」を表すのも、mayでしか表すことができません。
例文を見てみましょう。
You may not bring your own smartphone here.
あなたはここに自分のスマホを持ってきてはいけません。
こちらも、下記のようにmightを使って同じ「禁止」の意味を表すことはできません。
× You might not bring your own smartphone here.
→文法的にはOKだが、「~してはならない」という禁止を表す意味にはならない。
⑤祈願を表す場合はmayを使う
「~しますように」という祈願の意味を表す場合は、mayを使います。
May you have a long and successful career!
永く、成功したキャリアを歩めますように!
こちらも、mightを使って同じ意味を表すことはできません。
× Might you have a long and successful career!
may/mightを使った様々な表現
さいごに、may/mightを使った、日常会話でもよく聞く表現を紹介します!
①may well 「~する可能性が十分ある」「~してもおかしくない」
この表現は、may単体で使うよりも可能性が高いことを表します。
意味は、「~する可能性が十分ある」「~してもおかしくない」という意味になります。
例文を見てみましょう。
He may well go there alone.
彼はおそらくそこへ一人で行くだろう。
The restaurant may well be closed by now.
そのレストランは既に閉まっている可能性が高い
これらは、単に「可能性がある」のではなく、「可能性が高い」ということを表しています。
②may/might as well 「(選択肢がなく)こうするしかだろう」
これは、他に選択肢がなく、「もうこうするしかない」「(他に良い選択肢がないので)こうしたほうがいいだろう」という意味を表します。
イメージがつきにくいと思うので、例文を見てみましょう。
◆状況:バス停につきましたが、ちょうど直前のバスが出発したところであり、あと2時間くらい待たなければ次のバスが来ません。周りにタクシーや他の交通手段もなさそうです。家へは歩いて1時間半ほどかかります。
I might as well walk back home. I can't wait for the bus for 2 hours.
(他に良い方法もないし)歩いて家に帰ったほうがよさそうだね。2時間もバスを待てない。
バスも他の交通機関もなく、バスが来るまで2時間も待たなければならないという状況で、「家に歩いて帰れば1時間半でつくし、そうするしかないか、そうしたほうがいいね」という判断をしています。
これは他に良い選択肢も特になく、もう歩いて帰るしかない、仕方ないという意味ですね。
このように、そうするしか良い選択肢がないね、こうするのが今の状況だと一番いいかもね、というニュアンスで使われます。
③may/might want to 「~した方がいいかも」
これは、軽めに「~したほうが良いかもよ」と提案を行う表現です。
直訳すれば、「~したい可能性がある」となり、そうすることで相手に何かしらの利益があることを示しています。
例文を見てみましょう。
You might want to talk to my boss about that.
私の上司にそれについて話した方がいいかもよ。
直訳すれば、「あなたは私の上司に、それについて話したいかもしれない」となりますね。つまり、「私の上司に話す」ということをすれば、あなたに利益があるかもしれない、そうしたほうがいいかもしれないですよという意味を表しています。
すこし遠回しな感じがしますが、控えめに提案するニュアンスを出すことができます。
You may want to bring a coat.
コートを持って行った方がいいかもよ。
おわりに
mayとmightは、よく意味が誤解されている助動詞の1つです。きちんと意味と使い方を理解しておくことはとても重要です。
この記事で紹介したニュアンスや意味、表現を知っているかどうかで英語力が全然違ってくるので、是非マスターしておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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