この記事では、英語学習者がなかなか理解しづらい「過去完了形」について、図解しつつ解説します。
この過去完了形を理解するには、現在完了形の知識があるとより分かりやすいです。現在完了形があまりまだわかっていないという方、復習しておきたいという方は、こちらから現在完了形の解説を見ておきましょう。
目次
ポイント
最初に、この記事で解説するポイントを説明します。ここで分からなくても、この記事で丁寧に解説していきますので安心して下さい。
◆ポイント
①過去完了形は、現在完了形を過去にスライドさせたもの
②イメージは、「過去のある時点(A)があり、この時点(A)以前のさらに過去(B)に起きた出来事が、Aに影響を及ぼしている」ということ
③用法は、「完了・結果」「経験」「継続」の3つ
過去完了形の形
まずは、過去完了形の形から解説します。
過去完了形は次のような形で表されます。
例文を見てみましょう。まだ意味は分からなくてOKで、「確かに、現在完了形ではhaveだったのに、hadになってる」ということが分かればまずは大丈夫です。
I had finished my homework then.
I hadn't eaten anything for five hours, so I was hungry.
確かに、hadになってますね。現在完了形だと"I have finished..."となっていたはずです。
過去完了形のイメージ
次に、過去完了形のイメージを解説します。ここがなかなか理解できていない方が多いので、丁寧に見ていきましょう。まずは、現在完了形との違いと過去完了のイメージを見ます。
このセクションでは少々抽象的な話をしますが、この次のセクションで具体的な説明をしていきます。
過去完了形は簡単に言えば、「過去のある時点(Aとします)に、そのA時点よりもさらに過去(B時点とします)に起きた出来事が、影響を及ぼしている」ということです。
これはどういうことでしょうか。
まずは現在完了形のイメージを思い出してみます。
現在完了形のイメージは、「過去のある時点(A)」に起きた出来事が、現在にまで何らかの影響を及ぼしている、ということでしたね。
現在完了形の例文も見ておきます。
I have finished my homework.
宿題を終わらせた。
これは、宿題を過去のある時点(たとえば10分前)に終わらせた。その結果、現在暇だよ、ということを示していました。つまり、「過去」に宿題を終わらせた結果が、「現在」暇だということにつながる(影響する)のですね。
過去完了形は、「過去 Aのさらに過去の時点 B」に起きた出来事が、「過去の時点 A」に影響を及ぼす。 つまり現在完了形を1つ過去にずらしたものなのです。図で表すとこうなります。
この図を見て、「過去にずらした」という意味が分かりましたでしょうか。
現在完了形は、「過去の時点 A」に起きた出来事が、「現在」に影響を及ぼす。
過去完了形は、「過去の時点Aのさらに過去の時点 B」に起きた出来事が、「過去の時点 A」に影響を及ぼす。
「A⇒現在」が、「B⇒A」にずれてますよね。
この理解が、過去完了形を理解する上で重要です。
過去完了のイメージをもっと具体的に
さて、抽象的な説明ではなかなか理解しづらいと思いますので、もっと具体的に説明をしていきます。
過去完了形は、「過去 Aのさらに過去の時点 B」に起きた出来事が、「過去の時点 A」に影響を及ぼすのだと、解説しました。これをもっと具体的に見ていきましょう。
例①
そのとき(過去の時点A)お腹がすいていた。それは、それよりも前(A以前)に、何も食べていなかったからだ。
図でも見ておきましょう。
さて、これを過去完了形にすると、どうなるでしょうか。
I was hungry then because I had not eaten anything for 10 hours.
私はその時お腹がすいていた、それは(それまでに)10時間何も食べていなかったためだ。
このように、過去のさらに過去の出来事が、過去の時点に影響を及ぼしているのですね。
ここで、仮に「過去完了形を使わなかった場合」、どういう意味になるか考えてみましょう。
I was hungry then because I didn't eat anything.
私はその時お腹がすいていた、それは(その時)何も食べなかったためだ。
この文章の場合、どちらも「過去形」が使われています。
こうなると、「お腹がすいていた」過去の時点(「その時」)、そして同じ時点のその時、「何も食べなかった」という意味になるのです。
こんなイメージです。
過去Aよりも前に「何も食べてなかった」、それが過去Aの「空腹」の状態につながっているということを表すには、過去完了形を使うのが適切なのです。
例②
もう一つ、例を見てみましょう。
私は、彼にあったことがあると思った。
これも、図で見ておきます。
私は過去Aよりもさらに前の時点Bに彼に会ったことがあると思ったんですね。
英語にすると、
I thought (that) I had met him.
私は、彼に(以前)会ったことがあると思った。
つまり、過去Bで「彼に会った」という経験が、過去Aの時点に影響を及ぼしている(過去Aの時点で、さらに過去のBの時点に彼に会った経験を持っていた)ということです。
ここでも、より感覚をつかむために過去形を使った場合を考えます。
I thought (that) I had met him.
私は、以前彼に会ったことがあると思った。
I thought (that) I met him.
私は、(その時)彼に会ったと思った。
分かりやすくするために、下の文章では後半の部分を追加しています。
下の文章では、「彼に会ったと思った」ので、これは過去の時点Aに起きたことですね。
別の例えをすると、「以前お腹がすいていたなぁ、と思った」と、「お腹すいた!と思った」の違いです。
「以前彼に会ったことがあると、思った」と、「彼に会ったと思った」のは違いますよね。
このように、過去完了形を使うと、「過去の過去」と「過去」という2つの過去の時間を表せるのです。
過去完了形の3つの用法(完了・結果、経験、継続)
さて、イメージが理解できたところで、3つの用法を見ていきましょう。
「過去の過去」の出来事が、「過去」の時点に影響を及ぼしているというイメージが分かれば、簡単です。
完了・結果
完了・結果は、「過去のA時点で、既にその前に何かが完了していた」「既に完了していた結果、過去のAの時点でこうなっていた」ということを表します。
例文を見てみましょう。
I was bored because I had finished all of the homework.
私は、(それまでに)宿題を全部終わらせていたので、退屈だった。
I lost the game because I had not practiced at all.
私は(それまで)全く練習をしていなかったので、その試合に負けた。
I had baked cookies before they came.
彼らが来る前に、既にクッキーを焼いていた。
このように、ある過去の時点があって、それ以前に既にこうしていたんですよ、ということを表すのがこの用法です。
現在完了形の「完了」の用法を、そのまま過去にスライドさせたイメージですね。
経験
経験の用法は、「ある過去の時点で、それまでにこういう経験をしていましたよ」ということを表すものです。
例文を見てみましょう。
I had visited the U.S. twice when I was 10.
10歳だった時、既にアメリカを2度訪れたことがあった。
I had never read such an interesting book before I read The Little Prince.
星の王子さまを読むまで、そんなに面白い本を一度も読んだことがなかった。
*The Little Prince...『星の王子さま』(作家サン・テグジュペリが書いた本)
これもすべて、過去のある時点以前に経験していたことを表現していますね。
継続
さて、最後は「継続」です。
これは「過去のある時点で、それまでに継続していたこと」を表します。
例文を見たほうが分かりやすいので、見ましょう。
I had lived in Japan for 5 years when I started working at the school.
その学校で働き始めた時、既に日本に5年間住んでいた。
これはそのままなので簡単ですね。
さいごに
さて、過去完了形のイメージと使い方は理解できましたか?
日本語では、「過去完了形に対応する時制」はないです。そのため、「その時既に」といった言葉で過去の出来事の前後関係を表します。
ただ、英語では「過去のさらに過去」を表すときは、特殊な形を使う必要があり、この「特殊な形」が過去完了形というものなのです。
過去完了形を理解するには、時制を意識してできるだけ多くの文章に触れることです。こうすることで、「英語のルール」が身についてきます。
この記事が過去完了形を理解する一助になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
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