英語学習において、挫折する人も多い「仮定法」。文章の形が複雑でなかなか理解しづらく、苦手意識を持つ方も多いです。
この記事では、そんな挫折の原因にもなる「仮定法」について、詳しく、できるだけ分かりやすく解説していきます!練習問題も用意しているので、是非練習しながら仮定法をマスターしていきましょう!
目次
仮定法とは
仮定法とは、現実に起こっていないこと、起こらかなかったことを仮定するときに使う文章の形です。
現実に起こっていないこと、起こらかなかったことを仮定するとは、どういう意味でしょうか。
例えば、こんな状況を想像してみてください。
カフェで、食べたいケーキがあるが、100円足りない。
「あと100円あれば(仮定)、このケーキ食べれるのにな・・・」
行きたかった店に行くと、「18:30に閉店」の文字が。時計を見ると18:45でした。
「もっと家を早く出ていたら(仮定)、間に合ったのに…!」
これらは、現実には起こっていないこと、また起こらなかったことを仮定して、「今こうだったらな」「もしあの時こうだったらな」と言っていますよね。このような時に、仮定法という文章の形を使えばよいのです。
どういう時に仮定法を使えばよいかは理解できましたか?
では、仮定法について、より詳しく学習していきましょう!
仮定法の種類
よく使われる仮定法の種類は「仮定法過去」と「仮定法過去完了」の2つがあります。用語は難しいですが、実はすごく簡単です。次のポイントを見て、覚えておきましょう!
②仮定法過去完了…「あの時(過去)○○だったらなぁ」と、過去のことについて仮定する
では、先ほど見た例について、どちらを使えばよいか見てみましょう。一旦英語の型は置いておいて、「仮定法過去」「仮定法過去完了」どちらを使うのかを、一緒に考えてみましょう!
◆例①
カフェで、食べたいケーキがあるが、100円足りない。
「あと100円あれば(仮定)、このケーキ食べれるのにな・・・」
これは、「今100円持っていたら…」と現在の仮定をしているので、仮定法過去を使います。
行きたかった店に行くと、「18:30に閉店」の文字が。時計を見ると18:45でした。
「もっと家を早く出ていたら(仮定)、間に合ったのに…!」
これは、「もっと家を早く出ていたら」というのが過去の出来事なので、過去の仮定をしていますね。
つまり、仮定法過去完了を使えばOKです。
仮定法過去と、仮定法過去完了の使い分けは分かりましたか?
仮定法の型
それでは、仮定法の型について詳しく見ていきましょう!その前に、1点注意点があります。
参考書では、次のように説明されていることが多いです。
仮定法過去:
If 主語 + 動詞の過去形 ~, 主語 would/could/should 動詞 ~.
仮定法過去完了:
If 主語 + had + 動詞の過去分詞形 ~, 主語 + would/could/should have + 動詞~.
ですが、この記事ではあえてif節(青の部分)と、主節(緑の部分)の2つに分けて説明していきます。
仮定法過去
仮定法過去は、次のような型を使います。
例文を見てみましょう。
If I had money,
お金を持っていれば、
⇒ここでは動詞がhaveの過去形hadになっているので、仮定法過去です。「現在お金を持っていれば」という現在の仮定を示します。仮定なので、実際は現在お金は持っていないんですね。
If I were you,
もし私があなただったら
⇒ルールとして、be動詞のamかisを仮定法過去で使う時は、wereにします。
※最近ではwasが使われることもあります
これは、「もし今私があなただったら」という現在の仮定をしています。もちろん現実には「私」は「あなた」ではないです。
次のように、否定の仮定(もし~じゃなかったら)をすることもできます。
If I weren't working,
もし働いていなければ
⇒こちらも、wereと過去形になっているので仮定法過去の文章です。「もし働いていなかったら」という意味なので、実際には働いていることを示します。
仮定法過去完了
仮定法過去完了の型は次の通りです。
ちょっと複雑ですが、ifと過去完了形を組み合わせれば、「あの時こうだったら・・・」という過去の仮定ができると覚えておきましょう。
過去完了形の復習がしたい方は、「過去完了形は現在完了形の過去、以上。過去完了形 徹底講義!!」を参照してくださいね!
例文をいくつか見てみましょう。
If I had asked her out
もし彼女をデートに誘っていたら
*ask <someone> out... <誰か>をデートに誘う
⇒「had + 過去分詞形」、つまり過去完了形になっているので、仮定法過去完了です。「実際にはデートに誘わなかった」けど、「もし誘ってたら」という過去の仮定を表しています。
If I had finished the homework yesterday
もし昨日宿題を全部終わらせていたら
⇒こちらも過去完了形が使われているので、仮定法過去完了の文章です。「宿題を終わらせていたら…」と過去の仮定をしていますので、実際には「宿題を全部終わらせなかった」んですね。
こちらも、否定(あの時~じゃなかったら)を見てみましょう。
If I hadn't eaten the oyster last night
もしカキを昨晩食べなかったら
⇒こちらは、過去完了形の否定が使われています。「もしカキを食べていなかったら…」と過去の仮定をしているので、「現実には食べてしまった」のですね。
なんとなく掴めてきましたか?
さて、ここで一度復習がてら、練習してみましょう!
練習①
練習問題
問題① "If I had run faster"
これはどういう意味でしょうか。
問題② "If I were a student"
これはどういう意味でしょうか。
問題③ 「もし今お腹がすいていたら」(今はお腹がすいていない)
こう言いたいとき、英語でなんと言えますか?
問題④ 「もし先週部屋を掃除していれば」(先週部屋の掃除をしなかった)
解答
問題①の解答 「もしもっと速く走っていれば」
これは、過去について仮定をしています。
例えば、
「もしもっと速く走っていれば、電車に間に合ったのに」
「もしもっと速く走っていれば、授業に遅刻しなかったのに」
といった状況が考えられますね。
問題②の解答 「もし私が(今)学生だったら」
これは、現在について仮定をしています。
例えば、
「もし私が今学生だったら、学割を受けられたのに」
などの状況が考えられますね。
問題③の解答 If I were hungry
これは、現在について仮定をしているので、過去形を使います。
問題④の解答 If I had cleaned my room last week
これは、過去(先週)について仮定をしているので、過去完了形を使います。
仮定法における時間の「ズレ」
ここまで見てきて、次のように思った方もいるのではないでしょうか。
なぜ
「今」を仮定するのに「過去」
「過去」を仮定するのに「過去完了」
という風にずれているの?
このズレが起きているのは、「仮定」という表現の性質が原因なのです。
もう一度、仮定法を使うのはどういう時かを思い出しましょう。
現実には起こっていないことを仮定して、
「今こうだったらな」「もしあの時こうだったらな」と言いたいときに、
この「仮定法」という形を使えばよいのです。
この「現実には起こっていない」ということがポイントです。
この「現実には起きていないですよ」という感覚を、
「時間をずらす(過去形で表現する)」ことで表現しているのです。
下の図で見てみましょう。
「もし100円持っていれば…」というのはあくまでも想像の話で、
現実に起こっていることではありませんよね。
「現実には100円足りなかった」のです。
なので、「もし100円持っていれば…」というのは仮定であり
「現実に起こっていることじゃないですよ」ということを表現するのに、
過去形にして表現するのです。
「今」のことを「過去形」で表現することで、
「これって現実に起こっていることじゃなく、仮定しているだけなんだな」
ということを示せるのです。
仮定法過去完了も同じです。
「20分前に予約していれば、第一候補の旅館に泊まれたのに」
というのは、仮定です。
現実には「20分前に予約はしなかった」のです。
これも「過去」のことを、さらにその過去を示す「過去完了」を使うことで、
「これは過去に起こったことじゃないからね、仮定の話で、現実に起こってないからね」
ということが表現できるのです。
つまり、仮定法過去も仮定法過去完了も、
過去にずらすことによって、
「それはあくまでも仮定で、現実に起こってはいないからね」
ということを表現できるのです。
would/could/might
ここまでは、if節について仮定法の解説をしてきました。次は、主節の部分を解説していきます。
これまで説明してきたif節と一緒に、次の文章の型がよくセットで使われます。
主語 + would/could/might + 動詞の原形 「~だろう/~できるだろう/~かもしれない」
主語 + would/could/might have + 過去分詞形 「~だっただろう/~できただろう/~かもしれなかっただろう」
主語 + would/could/might + 動詞の原形 「~だろう/~できるだろう/~かもしれない」
would
wouldはwillの過去形です。「(もし~だったら)こうするだろう」という意思を表すときには、wouldという助動詞を使います。
例文を見てみましょう。
If I were you, I would date him.
私があなただったら、彼と付き合うだろうけどね。
if節の動詞は過去形wereです。つまり仮定法過去ですね。if節では「もし私があなただったら」という現在の仮定を表しています。
そして、主節では"I would date him."「私は彼と付き合うだろう」という意味を表しています。つまり、もし「私があなただったら」という仮定をしつつ、もしそうなら「付き合うだろうなぁ」という意思を表しています。
If I had more money, I would buy the smartphone.
もしもっとお金を持っていたら、そのスマートフォンを買うだろう。
こちらも、「もし(今)お金をもっと持っていたら」という仮定をしつつ、もしそうなら「そのスマホを買うだろう」と意思を表しています。実際はお金を持っていないので、そのスマートフォンは買わないという点に注意です。
このように、「もし~だったら、こうするだろう」という意思を表すときには、wouldという助動詞を使います。
could
couldはcanの過去形です。「(もし~だったら)こうできるだろう」という可能の意味を表します。
例文を見てみましょう。
If I were a student, I could get a discount.
もし私が学生なら、割引してもらえるだろうに。
If I had a car, I could go on a trip more often.
車を持っていたら、もっと頻繁に旅行に行けるのに。
どちらも、「~できるだろう」という可能の意味を表しています。
最後の文章の"could"を"would"に変えるとどうなるでしょうか。
If I had a car, I would go on a trip more often.
車を持っていたら、もっと旅行に行くだろうに。
というように「~するだろう」という意思のニュアンスに変わりますね。
might
mightは、「(もし~だったら)こうするかもしれない」という可能性を表します。
例文を見てみましょう。
If I won the lottery, I might quit my job.
もし宝くじに当たったら、仕事を辞めるかもしれない。
*win the lottery...宝くじに当たる
If you weren't here, I might be depressed.
もしあなたがここにいなかったら、落ち込むかもしれない。
これは「~かもしれない」という可能性を表すので、比較的わかりやすいですね。
主語 + would/could/might have + 過去分詞形 「~だっただろう/~できただろう/~かもしれなかっただろう」
would have
wouldのさらに過去を表すのが would haveです。
「~だっただろう」というように、過去の仮定を表します。
If you had told me earlier, I would have come to your house.
もっとあなたが早く言ってくれていたら、あなたの家に来ただろうに。
主節の部分は、「あなたの家に来ただろう」という過去の仮定の話をしていますね。wouldのみを使った場合と比較してみましょう。
If you had told me earlier, I would come to your house.
もっとあなたが早く言ってくれていたら、あなたの家に来るだろうに。
こちらは、「(今)来るだろう」という現在の仮定をしているので、ニュアンスが異なります。
I would have gone to the party if I hadn't been tired.
もし疲れていなかったら、パーティーに行っただろうに。
これも過去の仮定です。実際は「疲れていたから」「パーティーにはいかなかった」んですね。
疲れていなかったら、という過去の仮定をしています。
could have
これもwould haveと同様、過去の仮定をするときに使う形です。
「~できただろうに」というように「可能」のニュアンスを含み、過去の仮定を表します。
例文を見てみましょう。
I could have finished my homework if my cat hadn't been sick.
もし私のネコが病気じゃなかったら、宿題を終わらせることができただろうに。
If she had invited me earlier, I could have attended her birthday party.
もし彼女が私をもっと早く招待してくれていたら、彼女の誕生日パーティーに出席できただろうに。
might have
might haveは、「~できたかもしれない」という「可能性」を表します。
例文を見てみましょう。
If I had studied harder, I might have gotten better grades.
もっと勉強していたら、もっといい成績を取ったかもしれない。
仮定法過去と過去完了の組み合わせ
これまで仮定法過去と仮定法過去完了を学習してきました。
では、次の文章はどういった英語にすればよいか、わかりますか?
もし学生の時にもっと勉強していたら、今もっとお金持ちだっただろうになぁ。
ifの部分は過去(学生時代)の仮定をして、それを受けて「今」こうだろうに、という想像をしているのですね。
こう言った場合は、
If I had studied harder when I was a student, I would be richer.
という風に、if節は過去完了、主節の部分は過去形にします。
このように、if節と主節を組み合わせて、いろいろな文章を表すことができるのですね。
さて、練習をしてみましょう。
練習②
練習問題
①もし今財布を持っていたら、コーヒー買えたのにな。
これを英語で言ってみましょう。
②彼女の電話番号を知っていれば、今電話できたのになぁ。
これを英語で言ってみましょう。
③もし昨日宿題を終わらせていたら、今寝ているだろうに。
これを英語で言ってみましょう。
④もし明日晴れていたら、その公園に行きたい。
⑤If you were my sister, I would be very happy.
この文章の意味を考えてみましょう。
⑥If it weren't raining, I would go hiking.
この文章の意味を考えてみましょう。
解答
①If I had a wallet with me now, I could buy a cup of coffee.
買えたのにという日本語に惑わされないようにしてください。
「今財布を持っていたら」という仮定なので、「今コーヒーを買えたのに」
ととらえ、仮定法過去にするのが自然です。
②If I knew her phone number, I could call her now.
③If I had finished my homework yesterday, I would be sleeping now.
「今寝ているだろうに」というのは、現在進行形を使うのが自然ですね。
(現在進行形についての解説はこちら)
I would sleep にすると、「今眠るだろうに」という少し変な文章になってしまいます。
「宿題を終わらせていれば、今寝ている最中だろう」という意味なので、現在進行形にしましょう。
④If it is sunny tomorrow, I will go to the park.
正解しましたか?
これは、(未来に)もしこうだったら~という未来の仮定をする文章なので、if+現在形を使います。ifを使った条件文について学習したい方は、「if節にwillは使える⁉ifを使った条件文について基礎から応用まで解説します。」を参照ください!
⑤もしあなたが私の姉(妹)だったら、私は幸せだろうに。
⑥もし雨が降っていなかったら、ハイキングに行くだろうに。
もし分からない箇所があったり、忘れている箇所があった場合は、
もう一度解説を読んで、理解しましょう!
仮定法を使ったいろいろな表現
さて、ここまで仮定法の基本的な型を学んできました。
ここでは仮定法を使った、日常でも使える定型表現を紹介します。
① If it weren't for/ If it hadn't been for ~
If it were not for something/someone「もし<何か/だれか>がなければ、いなければ」
この表現は、現在の仮定に使われる表現です(過去形になってますよね)。
例文を見てみましょう。
If it were not for you, I would be lost.
あなたがいなかったら、迷っているだろう。
この表現、"if"が省略されることがあります。
その場合は、"it"と"were"がひっくり返るということも覚えておきましょう。
Were it not for her, I would be working for another company.
彼女がいなかったら、私は他の会社で働いているだろう。
ifを省略し、他の部分はそのままにした場合、It were not for...となり、普通の文章みたいになってしまいますよね。
「ここにifがもともとあって、省略されてるからね」ということを示すために、このように"倒置"されているのです。
If it had not been for something/someone「もし<何か/だれか>がなかったら、いなかったら」
この表現は、過去の仮定に使われる表現です。
これも例文を見てみましょう。
If it hadn't been for his talent, this project wouldn't have succeeded.
もし彼の才能がなかったら、このプロジェクトは成功していなかっただろう。
こちらも、Ifを省略することがあります。
Had it not been for your advice, I wouldn't have passed the exam.
もしあなたのアドバイスがなかったら、試験には合格しなかっただろう。
これらは両方、"without (~なしに)"という単語で言い換えることもできます。
上で紹介した表現もよく使われますが、"without"もよく使われます。
覚えておきましょう。
Without you, I would be lost.
あなたなしでは、迷っているだろう。
Without your advice, I wouldn't have passed the exam.
もしあなたのアドバイスなしでは、試験には合格しなかっただろう。
②In one's shoes/ In one's place
この"one's"には「~(人)の」を表す表現(his, her, John'sなど)がはいります。
この表現は、「もし~(人)の立場だったら」という意味です。
例文を見てみましょう。
If I were in your shoes, I would help her.
もし私があなたの立場だったら、彼女を助けるだろう。
If I were in your place, I would apologize to him as soon as possible.
もし私があなたの立場だったら、できるだけ早く彼に謝罪するだろう。
*as soon as possible...できるだけ早く
これらの表現も、日常で耳にする表現なので、是非使い方を覚えておきましょう。
自分だったらどう使うだろう?と考えておくと、いざとなったときに使えますよ!
最後に
仮定法、いかがでしたか?
「仮定法過去」「仮定法過去完了」という名前がついていて、さらに「If 主語 + 過去形~・・・」といった説明がされていると、身構えてしまいますよね。
形を覚えるのは必要ですが、難しい文法用語は必ずしも覚える必要はありません。
「こういうことを伝えたいときはこの形を使うんだ」という理解をしておけばOKです。
(受験勉強だと一定覚える必要があるかもしれませんが・・・)
是非イメージとともにこの型を覚え、自分でも「もし~」という仮定が言えるようになれば、コミュニケーションの幅も広がるので、マスターしてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事が分かりやすかったと思ったら、是非いいね!ボタンを押していただけるとありがたいです。