この記事では、aとtheの意味の違い、単数形と複数形について徹底解説していきます。
「aとtheの違い」だけでなく、「単数形と複数形」も一緒に理解することで、より理解が深まります。
この記事は、下記のような悩みを持つ方に向けて書かれています。
- aとtheの違いが分からない
- aとtheの違いについてニュアンスが知りたい
- 冠詞がそもそもよくわかっていない
この記事を読めば冠詞に対する理解が深まり、英語力が飛躍的に上がるので、一緒に学習していきましょう!
目次
全体像
まずは、基礎となるポイントを理解していきましょう。
ポイント
①aとtheの違いは、特定されているかどうか
②名詞が「単数形か複数形か」と、「特定か不特定か」で、形が4パターンあり(不可算名詞の場合は2パターン)、この4パターンを理解することが冠詞マスターへの近道となる
※名詞には、「可算名詞(数えられる名詞)」と「不可算名詞(数えられない名詞)」があります。
可算名詞と不可算名詞の詳細解説については、こちらの記事をご覧ください!
②の「4パターン」とは、下の図を見ると分かりやすいと思います(特定・不特定の意味は後で解説するので、まずは全体をつかんでください)。
不可算名詞の場合は、単数も複数もないので、「theがつくかつかないか」の違いになります。
このように、名詞が特定か不特定かに、また単数か複数かによって、形がいろいろに変化するんですね。
ただ、まだわからないところが多いと思いますので、順を追って説明していきます。
単数形と複数形の違いが分からないという方は、こちらの知識を先に身に着けることをおすすめします。
特定と不特定について
名詞が「特定」「不特定」とは、どういう意味なのでしょうか。
「特定」の名詞と「不特定」の名詞の違いは?
「特定」の名詞とは、話し手と聞き手で「あれのことね!」と1つに決まる名詞です。
話し手が、"the dog"といった場合、聞き手も「あの犬ね!」という共通認識を持つことができるということです。
逆に、「不特定」の名詞とは、話し手と聞き手が「あれのことね!」という共通認識が持てない名詞のことです。
これだけだと、まだわからないかもしれないので、具体的に例文を使って説明していきます。
「不特定」の名詞の例文
Tom: I found a dog near my house.
Tom: 僕、家の近くである犬を見つけたんだ。
Jack: Did you? What did it look like?
Jack: そうなんだ。どんな見た目だった?
Tomは、a dogとなっているので、「不特定」です。
この話が出た時点では、Jackはこの犬がどの犬を指しているのかが分からないので、「ある犬を見つけた」というのです。
単純に、「家の近くで犬を見つけてさ~」というようなニュアンスですね。
では、この"a dog”を「特定」に変えるとどうなるでしょうか。
「特定」の名詞の例文
背景:TomとJackは「青色の犬が近所でうろついている」という噂を聞いていた
Tom: Listen, I found the dog near my house.
Tom: 聞いて、僕、家の近くであの犬を見つけたんだ。
Jack: Did you!? Was it really blue?
Jack: そうなの!?本当に青色だった?
上に書いた背景があり、Tomが、「あの犬、見つけちゃったんだ」と言います。すると、Jackはまさに「あの青色の犬!あれか!あれを見つけたのか!」となりますよね。
このように、もともと2人が知っている(共通認識を持っている)ものには、theを使って、「あれだよあれ!」というニュアンスを伝えるのですね。
「例の犬」というとニュアンスが分かりやすいかもしれません。「例のやつだよ」というと、お互いが1つのものを認識できますね。
ここで、"I found a dog..."と言うと、「ある犬を見つけたんだ」という意味になり、不特定の、ある一匹の犬を見つけたというニュアンスになります。
◆余談 ~英語の"the"と日本語の"ザ"~
「昨日、ザ・ヤンキーみたいな見た目の人がいてさ~」と友達に言われたとしましょう。
ザ・ヤンキーと言われると、どういう見た目の人を思いつきますか?眉間にしわを寄せ、リーゼントで、派手な服を着ていて・・・という風貌を思い浮かべたのではないでしょうか。
友達間で、「ザ・ヤンキー」と言って普通に伝わりますよね。これはなぜでしょうか。
理由は、みんなが「ヤンキー」の典型的なイメージを持っていて、「ザ」というと「あれか!!」と1つにイメージが絞れるからですね。
この「1つに絞れる」という感覚は、英語の"the"と同じようなものですね。
「特定」「不特定」の意味が分かったところで、1つ1つ単数形と複数形、特定と不特定の組み合わせを見ていきます。
例文でより理解を深める
「a(an) + 名詞」 と 「the + 名詞(単数)」の比較
「a(an) + 名詞」は、不特定のもので、かつ単数(1つ)を表すときに使われます。
「the + 名詞(単数)」は、特定のもので、かつ単数(1つ)を表すときに使われます。
例文を通して理解していきましょう。
例文①
Jack: Should I bring a gift to Sam's birthday party?
Jack: Samの誕生日パーティーに(ある)ギフトを持っていく必要はありますか?
Johnny: You don't have to.
Johnny: その必要はないですよ。
この時、「ギフト」が何か具体的にまだ決まっていないですね。つまり不特定のものを指しています。
では、これをtheに変えてみましょう。
背景:JackとJonnyは、Samへの誕生日プレゼントを事前に一緒に買っていました。
Jack: Should I bring the gift to Sam's birthday party?
Jack: Samの誕生日パーティーにあの(例の)ギフトを持っていく必要はありますか?
Johnny: Of course.
Johnny: もちろん。
"the gift(あのギフト)"と言っていることから、Johnnyは「あれか、前一緒に買いに行ったやつ!」という特定ができますね。
このように、JackとJohnnyで同じものを特定できることから、Jackは"the gift"と言っているのですね。
ここで仮にJackが"a gift(あるギフト)"と言ってしまうと、Johnnyとしては「え、前一緒に買いに行ったギフトじゃないの?」となってしまいます。
JohnnyはSamへのプレゼントは前買ったものだと思っているので、「1つしかない(特定のもの)」のですね。よって、"a gift"と言われると違和感があるわけです。
例文②
Jessica: I'm looking for a red shirt.
Jessica: 赤いシャツを探しているんですが。
seller: How about this one?
seller: これはどうですか?
これは「不特定」ですね。Jessicaは特定の赤いシャツを思い浮かべているのではなく、「まだ決まっていないが、ある1つの赤いシャツ」を探しているのです。
背景:Jessicaは事前に店に電話をし、最近話題の、ある赤いシャツがあるか問い合わせていました。
Jessica: Hi, I'm the one who called you earlier. I'm looking for the red shirt.
Jessica: こんにちは、さっき電話をした者ですが。赤いシャツを探しています。
seller: Hi, I was waiting for you. The red shirt is right here.
seller: こんにちは、お待ちしていました。その赤いシャツはちょうどここにありますよ。
この文脈では、"the red shirt"と言えば「特定の赤いシャツ」に絞れますよね。
そのため、ここでは"the"が使われているのですね。
「名詞(複数形)」と、「the + 名詞(複数形)」の比較
「名詞(複数形)」は、不特定のもので、かつ複数(2つ以上)を表すときに使われます。 1つではないため、aはつきません。
「the + 名詞(単数)」は、特定のもので、かつ複数(1つ)を表すときに使われます。
こちらも、例文を通して理解していきましょう。
例文①
Tim: I love dogs, but my mom won't let me have one.
Tim: 犬が大好きなんだけど、お母さんが飼わせてくれないんだ。
Ashley: Maybe it's because you're lazy.
Ashley: たぶん君が怠惰だからだよ。
「犬が好き」という場合、ある1匹の犬を想像しておらず、不特定多数の犬をまとめて「犬」を認識していますよね。
このように、「一般的なモノ・こと」を表すときにこのように不特定の複数形が使われるので、これも覚えておきましょう(超重要です)。
では、theにするとどうなるでしょうか。
背景:TimとAshleyは、共通の友達が飼っている5匹の犬について話しています。
Tim: I love the dogs, they're so adorable.
Tim: 僕、あの犬たちが大好きなんだ。彼らはとてもかわいい。
Ashley: I know!
Ashley: ほんとだよね!
*adorable: (人・動物が)かわいらしい
この状況では、「友達の複数の犬たち」は特定のものなので、"the + 複数形"になっています。
"the + 複数形"は、「特定のグループを指す」と理解しても良いでしょう(ここでは5匹の犬のグループを指す)。
例文②
Me: I bought two books yesterday.
Me: 昨日2冊の本を買ったんだ。
Mom: What books?
Mom: 何の本?
これも、"the"がついていないので不特定です。「ある2冊の本を買った」という意味ですね。
次にtheがつく場合を見てみます。
背景:私はお母さんと、話題になっている本2冊の話をしていました。
Me: I bought the two books yesterday.
Me: 昨日例の2冊の本を買ったよ。
Mom: Oh, really? Can I read one of them tomorrow?
Mom: 明日、そのうち1冊読んでいい?
これは、"the two books"となっているので、「特定の2冊の本」を指しています。
これは、私とお母さんの間では「例の2冊の本」といって通じる特定のものなので、"the"がついています。
さいごに
この記事では「特定された名詞」と「不特定の名詞」についてみてきました。
細かいですが、英語でコミュニケーションをとるにあたっては本当に重要なので、是非イメージをつかんでくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!