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実は簡単に理解できる『分詞構文』徹底解説!必要以上に暗記していませんか?

数ある英語の構文の中でも難しい『分詞構文』。実は1つのイメージを理解するだけでいいんです。この記事では、分詞構文の基礎知識から、独立分詞構文などの応用知識まで、豊富な例文を交えて徹底解説します!
※そもそも分詞が何かわからない方は、分詞についての解説記事を先に確認するとスムーズに理解できますよ!

この記事では、次のような方に向けて書かれています。

  • 分詞構文が何かわからない
  • 分詞構文の意味が多すぎて理解できない
  • 分詞構文をすらすら理解できるようになりたい

分詞構文は基礎的な文法や他の構文に比べると少し複雑なので、その分説明も多くなりますが、この記事を読めば簡単に理解できるので、頑張って学習していきましょう!

目次

分詞構文とは

分詞構文とは、「分詞から始まる句と、主節によって構成された構文」です。・・・とはいってもまだ少し難しいですね。次の図を使って、まずはどんな形かを理解しましょう。

こうすると簡単ですね。

「主節」に、「分詞から始まる句」がくっついたものが分詞構文です。
※主節…「主となる文章」で、上図のS(主語)+V(動詞)~という一番言いたい部分にあたる。

次に、例文を見てみましょう。一旦ここでは、分詞構文の形をなんとなく理解できれば大丈夫です。なぜそういう意味になるのか?については後で解説します。

Drinking a lot of beer, I enjoyed watching a movie.
たくさんのビールを飲みながら、映画鑑賞を楽しんだ。

Annoyed by the noise of a neighboring house, I closed the window.
近所の家の騒音にイライラし、窓を閉めた。

全て、「分詞から始まる句+主節」から構成された構文になっています。

ポイント 
分詞構文=「分詞から始まる句と、主節によって構成された構文」

それでは、詳しく見ていきましょう。

分詞講文のイメージ

参考書などでは「分詞構文には『時』『条件』などの用法があり・・・」と解説されているものがほとんどだと思います。ただ、実際の分詞構文の感覚はもっと簡単、シンプルです。

イメージ・感覚について

分詞構文の感覚は2つのことが同じ状況で起こっている、ただそれだけです。次の図を見てみましょう。

2つの出来事がだいたい同じ時間軸・状況で起きているという感覚から、様々な意味が発生するのです。

この感覚はとても重要なので、覚えておいてください。

『時』『条件』などの色んな意味がある理由について

なぜ「単に2つの出来事がだいたい同じ時間軸・状況で起きている」という感覚から、『時』『条件』などを意味するようになるのでしょうか。

先ほどの例文で、この「同時」のイメージと、『時』『条件』などの意味の関係をもう少し具体的に説明していきます。

例文①

Drinking a lot of beer, I enjoyed watching a movie.
たくさんのビールを飲みながら、映画鑑賞を楽しんだ。

これはまさにイメージ通りですね。

「ビールを飲む」ことと「映画鑑賞を楽しむ」ことが同時に起こっています。ただ、「映画鑑賞を楽しむ」という方が主節(一番言いたい文章)に入っているので、「ビールを飲みながら、映画鑑賞を楽しんだ」という意味です。「映画鑑賞を楽しみながら、ビールを飲んだ」という意味ではありません(※)。
※「映画鑑賞を楽しみながら、ビールを飲んだ」だと、"Enjoying watching a movie, I drank a lot of beer."となります。

例文②

Waiting in line, I realized I didn't have my wallet.
列で待っているとき、自分が財布を持っていないと気づいた。

「列で待っている」ということと、「財布を持っていないと気づいた」ということが同時に起こっていますね。日本語訳は「~しているとき」となっていますが、感覚としては「列で待ってて、財布を持っていないと気づいた」という方が近いです。ただ、その意味をより正確に(かたい表現で)表すために、「~するとき」と訳されているだけなのです。

例文③

Depressed by the news, I watched a movie to forget it.
その知らせを聞いて憂鬱になったので、それを忘れるためにテレビを見た。

日本語訳では、「憂鬱になったので」と明確に理由・原因を示す訳になっていますね。ただ本来は、「その知らせを聞いて憂鬱な状態」ということと、「それを忘れるために映画を観た」ということが、(だいたい)同時に起こった感覚だけなのです。

日本語で「憂鬱になって、映画を観た」と言われると、「憂鬱になったことが原因で映画を観たんだな」と解釈しますよね。これと似た感覚です。

このように、「AとBがほとんど同時に起こっている」と言えば、「Aしながら並行してBする」という意味にもなりますし、「Aが原因でBになる」という意味にもなります。

 ポイント
分詞構文の根本的なイメージは、「同時に起きている」そのイメージから、いろいろな意味を表せる

 

 

それでは、1つ1つ意味を見ていきましょう。

分詞構文の意味

次は分詞構文の意味を1つ1つ解説していきます。分かりやすくするために意味の分類をしているだけで、本来は「ほとんど同時に起こっている」という感覚です。

この感覚を意識して、それぞれの意味を理解していきましょう。

『時』『付帯状況』

まずは、「~したとき」と訳される、『時』を表す分詞構文です。

「~しながら」といった、並行して進行している行為を表す『付帯状況』も同じようなものなので、一緒に説明します。

Looking at those photos, I remembered my childhood.
これらの写真を見た時、子供のころを思い出した。

*childhood: 子供のころ、幼年時代

より分詞構文の感覚に近く訳すと、「これらの写真を見て、子供のころを思い出した」となります。

英語の感覚では「写真を見た」という意味は強くなく、単純に「写真を見た」⇒「子供のころを思い出した」というつながりがあるだけです。

明確に「この場合はこの訳をあてはめましょう」などのルールはなく、文脈から意味を理解・解釈すればOKです(この曖昧さが分詞構文の特徴です)。

Living in the house, I always felt there was someone else.
その家に住んでいた時、いつも誰か他の人がいる感じがした。

これも、「その家に住んでいた」、それと同時に「いつも誰か他の人がいる感じがした」と言っているだけです。

『付帯状況』はこれと似ていますが、こんな場合です。

Chatting with my friend, I was trying to finish my homework.
友達と話しながら、宿題を終わらせようとしていた。

「友達と話す」という行為と、「宿題を終わらせようとする」という行為が同時並行で行われています(=「~しながら」を意味する)。

これが『付帯状況』と言われるものです。ある状況に付帯(くっつく)して、別の状況が同時並行で進んでいるのですね。

『原因・理由』

次は、「~ので」などと訳される、『原因・理由』を表す分詞構文です。

Knowing my mother loved desserts, I bought her many cakes for her birthday.
私のお母さんはデザートが大好きだとしっていたので、彼女の誕生日に、多くのケーキを買ってあげた。

*know (that) S + V ~: SがVだと知る

これも、「同時に起こっている」感覚でとらえてみましょう。

「お母さんが、デザート好きだと知っていた」⇒「誕生日に多くのケーキを買ってあげた」なので、必然的に「デザート好きなのを知っていた」から、「誕生日に多くのケーキを買ってあげた」と理解できますね。

もともとの意味に近い訳をすれば、「私のお母さんはデザート好きだと知っていて、誕生日に多くのケーキを買ってあげた」となるでしょう。これも「知っていたため」と、かっちりと原因・理由を表している感じはなく、分詞の部分と主節がゆるやかにつながっている感覚です

『条件』

条件を表す分詞構文です。

Used in this way, this app will maximize the benefits of exercise.
このように使えば、このアプリは運動の効果を最大化します。

ここでは過去分詞形が使われてますね(なんで過去分詞!?と思った方はこちらの記事をご覧ください!)。

これも「同時に起こっている」感覚でとらえます。

「このような方法で使われる」⇒「このアプリは運動の効果を最大化する」ことがほぼ同時に起こっています。つまり、「このような方法で使われる場合に(使われれば)」、効果が最大化されるのですね。よって、この分詞は条件のようなものを表します。

ただ、「このような方法で使われる時、~最大化します」と『時』を表すともとらえられます。

実際は「このような方法で使われると、~最大化します」くらいの感覚しかないので、「これは100%条件を表す!」など明確なルールはなく、単に「~されると・・・」と、ゆるく分詞と主節がつながっているくらいの感覚しかないのですね。

『譲歩』

次は譲歩を表す分詞構文です。実際にはあまり使われませんが、一応説明しておきます。

例文を見てみましょう。

Understanding your opinion, I don't think you're right.
あなたの意見を理解するものの、あなたが正しいとは思いません。

これも「同時に起こっている」ととらえてみましょう。

「あなたの意見を理解する」⇒「正しいとは思わない」と文章がつながっています。これを自然に解釈すれば「意見を理解するものの、正しいとは思わない」ととらえられます。

ただこれも絶対に「~だが」と訳す必要があるわけではなく、「あなたの意見を理解しつつ、正しいとは思わない」ぐらいの感覚です。

自然なつながりとして「~だが」と解釈するのだととらえておけばOKです。

『結果』

次は結果です。よくニュース記事等でこの表現が使われるのを目にします。

The bomb exploded, destroying the store nearby.
その爆弾が爆発し、その結果近くの店が破壊された。

このような例ですね。

これも「同時に起こっている」ととらえると、「爆弾が爆発した」⇒「近くの店が破壊された」となります。つまり爆発によって、近くの店が破壊されたのですね。

これも「結果」という意味が明確に示されているわけではなく、「その爆弾が爆発した、近くの店を破壊しつつね」みたいな感覚です。

 ポイント
分詞構文の意味には『時』『付帯状況』『原因・理由』『条件』『譲歩』『結果』があるが、実際の感覚は「分詞と句の内容と主節の内容が同時に起こっている」だけ。あまり意味の分類にこだわらず、この感覚をもとに理解することが大切。

分詞講文の法則

2つの法則

さて、ここまで「同時に起こっている」感覚をもとに、分詞構文を説明してきました。 理解できてきましたか?

実は、分詞講文には次の2つの法則があるのです。

分詞の句と、主節の主語が一致する

②分詞の句と、主節の時間が一致する(主節の時間が基準)

どういう意味でしょうか。

次の例文を使って、説明します。

Drinking a lot of beer, I enjoyed watching a movie.
たくさんのビールを飲みながら、映画鑑賞を楽しんだ。

法則① 分詞の句の主語が、主節の主語と一致する

この例文で、「たくさんのビールを飲んだ」のと、「映画鑑賞を楽しんだ」のは、どちらも「私(I)」ですよね。

「いやいや、ビールを飲んだのは、自分じゃなくて友達だから!」と言われたとしても、「いや、友達なんで文章に書いてないからわからん!」となります。そのため、基本的にどちらも主語が同じになります。

法則② 分詞の句と、主節の時間は一致する(主節の時間が基準になる)

次に、「たくさんのビールを飲んだ」のと、「映画鑑賞を楽しんだ」のは、同じ時間です。この文章では、映画鑑賞を楽しんだのは過去(enjoyedと過去形になっている)ので、ビールを飲んだのも、それと同じ過去です。

映画鑑賞を楽しんだのが昨日の午後8時~午後10時の間であれば、ビールを飲んだのも午後8時~午後10時頃です。

2つの法則が破られる場合

ただ、この2つの法則は、次のように破られる場合があります。

①主語が一致しない場合がある

②分詞句と、主節の時間は一致しない場合がある(主節の時間とずれる場合がある

なぜ破られるのか。それは表現の幅を広げられるからです。

主語が同じかつ時間が同じじゃないとダメ、となると表現の幅が狭いですよね。「主語が違う文章」や「離れた時間を表現する文章」も分詞構文で表現すればシンプルにできるので、この法則が破られるのです。

ただ、法則が破られる場合は、破られたことが分かるように文章を作るので、ちゃんと見分けがつきます。

この2つのパターンについて、説明します。

①分詞句の主語が、主節の主語と一致しない場合 について

これが、よく文法書で「独立分詞構文」と呼ばれているものです(この用語自体はさして重要ではありませんが、一応覚えておくといいです)。

これも、普段はあまり使われず、後で見る慣用表現として使われる場合がほとんどです。ただ、硬い文章ではたまに出てくるので、一応理解はしておきましょう。

例文を見てみましょう。

All things considered, the soccer player played well.
あらゆることを考慮すると、そのサッカー選手は上手にプレイした。

All thingsが、「"considered"の主語」になっていて、the soccer playerが主節の主語になっています。直訳すると「あらゆることが考慮されると、サッカー選手は~」となり、主語が異なっています。

このように、主節とは違った主語を用いた分詞構文も作れるのです

また、 "considered"と過去分詞になっていますが、これは「あらゆること」が「考慮される」受け身の関係性だからですね。

もう少し例文を見てみましょう。

The winter being over, I don't have to wear gloves anymore.
冬が去ったので、もう手袋を付けなくてもよい。

*be over: ~が終わる

ちなみに、"being"は省略可能なので、"the winter over"となる場合もあります。

The homework done, I can hang out with my friend.
その宿題が終わったので、友達と遊べる

*hang out: 遊ぶ

これは、"being"が省略された形ですね。こういった形もたまに出てくるので、覚えておきましょう。

主節との意味的なつながり(『時』『付帯状況』『条件』など)は、普通の分詞講文と同じになります。

分詞の句と、主節の時間が一致しない場合 について

次は、 主節の時間は一致しない場合についてです。「同時に起こっていない」ことも、分詞構文(の変形バージョン)で表せるのです。

次の例文を見てみましょう。

Having read the novel, he can tell how the story goes.
以前小説を読んだことがあったので、彼はその物語がどう進むかを話せる。

この文章の場合、「小説を読んだ」ということと、「彼が物語を説明できる」ということは同時には起こっていないですよね。「前に小説を読んだ」、その経験をもとに「物語を説明できる」という意味なので、時間にずれがあります。

このような場合、これまで説明してきたように"Reading the novel, "としてしまうと「同時に起こっている」ことになるので、違う形を使う必要があります。

そこで登場するのが、Having done~,という形です(現在完了形のhave doneの変形)。この表現を使って、分詞の句の内容が、主節よりも以前に起こったと示すことが可能です

例文を見てより理解を深めましょう。

Having finished my homework, I went out for shopping.
宿題を終わらせていたので、ショッピングにでかけた。

これも時間のずれがあります。まず「宿題を終わらせた」。そしてその後で、「ショッピングに出かけた」のですね。

 ポイント
分詞構文では「分詞と主節の主語・時制が一致する」法則があるが、この法則は破られる場合もある。「主語の一致」の法則が破られる場合が独立分詞構文、「時制の一致」が破られる場合が Having done ~の形

分詞講文を使った慣用表現

最後に、分詞講文を使った慣用表現を紹介します。

慣用表現は、「一定の型で用いられて、それが1つの表現として習慣的に使われるようになったことば」という意味です。

①All things considered

先ほど出てきましたね。「あらゆることを考慮すると」という意味です。文頭、文中、文末どこでも使えます。

All things considered, the restaurant was nice.
あらゆることを考慮すると、そのレストランは素敵だった。

The book is worth reading, all things considered.
あらゆることを考慮すると、その本は読む価値がある。

*worth doing: ~する価値がある

②Judging from

judging from は、「~から判断すると」という意味です。

Judging from the taste, there's crab meat in this dish.
味から判断すると、この料理にはカニの肉が入っている。

Judging from the letter, she is very mad.
その手紙から判断すると、彼女はすごく怒っている。

③<副詞> speaking

<副詞> speakingという形で、「<副詞>に言えば」という意味になります。例を見てみましょう。

・Generally speaking 「一般的に言えば」

Generally speaking, pet owners must take care of their pets.
一般的に言えば、ペットの所有者はペットの世話をしなければならない。

・Strictly speaking 「厳密に言えば」

Strictly speaking, strawberries are vegetables.
厳密に言えば、イチゴは野菜だ。

・Frankly speaking 「率直に言えば」

He is a nice guy, but frankly speaking, he smells bad. He said he doesn't take a shower.
彼はいいやつだが、率直に言うと、くさい。シャワーに入らないんだって。

このほかにもいろいろ似た表現があるので、調べてみてください!

④Speaking of

Speaking ofは、「~と言えば」という意味です。

Speaking of animals, she is thinking of having a cat.
動物と言えば、彼女が猫を飼うか考えているんだ。

⑤Taking <something> into consideration

Taking <something> into considerationは、「~を考慮に入れると」という意味です。

Taking all the factors into consideration, we can't afford the car.
全ての要素を考慮に入れると、その車は買う余裕がない。

さいごに

いかがでしたか?分詞構文に対する理解が深まったのではないでしょうか。

参考書では、「分詞構文には『時』、『条件』の意味があって、・・・」と説明されていると思いますが、実際は少し違う感覚なんだと分かっていただけたかと思います。

日本語訳にこだわるのではなく、英語のそのままの感覚でとらえられるように訓練するとより英語力が伸びます。ただ、いきなりその感覚をつかむのは難しいので、いろんなサイトの記事や動画を見て理解していくといいと思います。

分かりやすかった!と思った方は、是非いいね!を押していただけるとありがたいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

  • この記事を書いた人

Kazu

国連英検特A級合格(二次試験満点)、TOEIC満点、TOEFL iBT108点取得。大学では英語を専攻し、カリフォルニア大学で1年間政治経済を学ぶ。これまでに海外留学支援やTOEIC/TOEFL模擬試験の作成と編集、TOEICや英文法・英会話の講師、翻訳など様々な英語に関する 仕事に携わってきました。

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