文法を学習していると出てくるunless。「もし~でないなら」などと否定の意味が入っているので、なんとなくわかりにくい、すっきりしないと感じているのではないでしょうか。
この記事では、日本語訳に頼らずにunlessを理解する方法、日常会話での使い方、そしてif~notとの言い換えなどの応用知識まで、unlessを徹底解剖します。
目次
unlessを使った文の型
初めに、unlessをどのように使うか見てみましょう。
接続詞であるunlessは、このように文章同士をつなげることが可能です。
unlessが文頭に来る場合(①)は、文章と文章の間にカンマが必要なので注意しましょう。
これだけだとイメージがつきにくいと思いますので、例文でunless文の形を見てみましょう。意味は分からなくて大丈夫ですので、形だけに注目しましょう。
①We can grab a cup of coffee unless the cafe is closed.
②Unless the cafe is closed, we can grab a cup of coffee.
*grab: ~をつかむ(軽くどこかで飲んだり食べたりする、という意味で使います)
"unless the cafe is closed"という「unlessにくっついた文章」のことをunless節、メインとなる文章のことを主節と呼びます。
なお、ifを使った文章と同様、「未来を表す助動詞will」はunless節には用いられませんので、注意です。
※ifについての解説記事はこちらです。
unlessの意味
unlessは例外を表します。
主節の文章に対して、「このような例外が起きれば、別の話だけどね」という例外を付け加えるのです。
例文をいくつか使って、解説してきます。この例文と解説を読めば、なんとなくunlessの意味とニュアンスが分かるでしょう。
◆例文①
We can grab a cup of coffee unless the cafe is closed.
まず主節(We can grab a cup of coffee)の部分。これは、「コーヒーを一杯飲みに行ける」という意味です。
そしてその後にunlessが来ています。これは、例外(「unless以下の例外が起きれば別の話だけど」という意味)を表すのでしたね。
その例外とは「そのカフェが閉まっている」ということです。
つまり「コーヒーを一杯飲みに行ける。そのカフェが閉まっているという例外がなければね。」という意味になります。
もっと自然な訳にすると、「そのカフェが閉まっていなければ、コーヒーを一杯飲みに行ける」となります。
ただ日本語訳で理解せず、「例外」を表すんだというイメージを持っておきましょう。
◆例文②
I don't want to go to her house unless I'm invited.
主節(一番言いたい部分)は、「私は彼女の家に行きたくない」ということです。
ただ、普段はこのように彼女の家に行きたくないのですが、例外があります。
その例外とはunless以下の部分、つまり「招待される」ということです。
よって、「私は彼女の家に行きたくない。招待されれば別の話だけどね」という意味になります。
訳すとすれば「招待されない限り、私は彼女の家に行きたくない」となります。
◆例文③
Your English will never improve unless you practice every day.
もう1つ見ておきましょう。まず主節は「あなたの英語は絶対に上達しない」という意味になります。
ただ、何をしても絶対に上達しないわけではなく、例外があります。それは「毎日練習をする」ということです。
つまり「あなたの英語は絶対に上達しない。毎日練習すれば別の話だけどね」という意味です。
訳せば「毎日練習しない限り、あなたの英語は絶対に上達しないよ」という意味になります。
意味はつかめてきましたか?
「主節の内容」を主張して、それに対してunless節で「こういう例外があれば別の話だけど」という意味を表します。
この例外を表すのがunlessなのですね。
会話で使われるunless
情報を付け加えるunless
日常会話では、「こうじゃなかったらの話ね!」「この場合は当てはまらないけどね!」「逆にこうすれば問題ないけどね!」という情報を付け加えるのに使われることも多いです。
次の文章を見ましょう。
状況:Tom, Jeffは映画を観に行く予定を立てています。Jeffは友達のGaryも誘おうと言い出しましたが、TomはGaryが映画嫌いなのを知っていたので、絶対に来ないと主張しています。
Tom: I'm telling you, he hates watching movies, so he won't come.
Tom:言ってるじゃん、彼は映画を観ることが大嫌いだから、来ないよ。
Jeff: Are you sure?
Jeff: 本当にそう思うの?
Tom: Oh, unless, you invite Maggie. Gary likes her, so if Maggie comes, he will come.
Tom: あ、でもMaggie誘えば話は別だ。Garyは彼女のことが好きだから、Maggieが来るんだったらGaryも来るよ。
このように、何か自分が主張したことに対して「この場合は話は別だね」という例外を言いたいときに、unlessを使うことがあります。
もう1つ例文です。
状況:EmmaとLiamがデートをしています。Emmaのお母さんは厳しく、Emmaは「遊ぶなら夜8時までに帰ってきて勉強しなさい」と言われていたのにも関わらず、そのことを忘れていて、時計を見ると10時を回っていました。
Emma: Oh I forgot my mom told me to come home by 8, now it's already 10! I should probably call her now but she's gonna be so mad...
Emma: ああ、お母さんに8時までに家に帰るよう言われていたのを忘れてたわ。もう既に10時!たぶん彼女に電話すべきだけど、絶対怒るな・・・
Liam: Unless you tell her that you've been studying with your friends.
Liam: 友達とずっと勉強してたと言ったらいいんじゃない?(そういえば怒らないんじゃない?)
ここでも、「こういえば、怒られないよ」という例外を表現していますね。
Not unless 「こうじゃなかったらNo」
Not unlessという表現は、yes/no疑問文に対して、「もしこうじゃなかったらNoだね」という答えをする時に使われます。言い換えると、「いいけど、この条件がのめたらね」ということです。
例文を見てみましょう。
Lisa: Can you do my homework for me?
Lisa: 私の宿題やってくれる?
Tony: Not unless you give me some money.
Tony: お金くれればいいよ。(お金くれない限り、いやだね)
Notというのは、ここではCan you~?に対しての回答なので、「できない」という意味を表します。
ただ、何が何でもやらない、やりたくないということではなくて、例外があるのですね。その例外が「お金をくれる」ということです。つまりお金をくれれば、やってもいいけどという意味です。
このように、unlessは日常会話でもよくつかわれる表現なので、日本語訳ではなく、解説した「例外」のニュアンス・感覚で是非覚えておきましょう。
unless節に否定文は使えるか?
unlessは、「もし~でなければ」という否定の意味が入っているので、unless節に否定文は使えないと説明する人もいます。ただ、日常会話ではunlessに否定文が来ることもあります。
unless節に否定文が来るとどういう意味になるでしょうか。ここでも重要なのは「例外」の感覚です。
You can come with me unless you don't want to.
一緒に来てもいいよ。来たくないんだったら話は別だけど。
訳を見ればわかる通り、「(あなたは)私と一緒に来てもいいですよ」という許可を出しておきつつ、「あ、別に来たくないんだったら話は別なんだけどね(来たくないんだったら来なくていいんだけどね)」という例外を作っています。
例文をもう一つ。
I can give you a massage unless you don't want me to.
マッサージしてあげるよ。ただ私にマッサージしてほしくないんだったら話は別だけど。
こちらも、「マッサージしてあげる!」と提案しつつ、「してほしくなかったら話は別だけどね(してほしくなかったらやらないけどね)」という例外を作っています。
このように、「~じゃない場合は別として」という例外を表す場合に、unless+否定文が使われることもあります。
unlessを「もし~でなければ」という訳で覚えていると、「私にマッサージしてほしくないのでなければ、マッサージしてあげる」という理解が難しい二重否定の文章に聞こえます。ただ「例外」としてとらえることで、より英語の感覚に近いニュアンスで理解することができるのですね。
unless 応用編
最後に、unlessとif ~ notの違いを説明します。
これを理解することで、よりunlessのニュアンスや意味をつかむことができるようになるでしょう。
ただ、これらは少し応用でより深い内容になるので、基本的な知識だけ知れたらいいという方は読む必要はないと思います。
①unlessは既知の場合には使えない
次の仮定法の文章を見てみましょう。
I would cook curry if he weren't sick.
彼が体調不良じゃなければ、私はカレーを作るだろうに。
これは仮定法なので、今現実に起きていることです。つまり、彼は体調不良なので、私はカレーを作らないという意味を表します。
※仮定法についてはこちらに詳しい解説を載せています。
この場合、次のようにunlessを使った文章で書き換えることはできません。
× I would cook curry unless he were sick.
なぜunlessは使えないのでしょうか。「例外」という観点で見れば、簡単に理解できます。
この文章を訳せば「私はカレーを作るだろう。ただ彼が体調不良の場合は例外ね。」という意味になりますね。彼が体調不良だということを私が知らず、彼が体調不良だったらカレーは作らないよということであれば意味は分かります。
ただ、この場合「彼は体調不良」ということを私が知っています。
その場合、「彼が体調不良の場合は例外ね」と言うのはおかしいですね。例外というのはあくまでも「もしそういうことが起こった場合」という仮定的な意味ですので、既に起こっていると知っていることについては、unlessは使えないのです。
②unless と if ~ notは同じ意味じゃない?!
unlessはif ~ notという表現で書き換えられるという解説が時々っされますが、実はそうならない場合があります。
WordReference.comという海外のサイトで、これについて議論されている面白いスレッドがあります。このスレッドをもとに、この意味の違いについて解説していきましょう。
論理的に難しい内容になっているので、今難しいと感じても問題ありません。「例外」という感覚を身に着ければ、いずれ理解できるようになる内容なので、理解できなくても安心してください。
このスレッドでは、次の文章をもとに議論がされていました。
School classes will be overcrowded unless the birth rate does not increase.
https://forum.wordreference.com/threads/negative-form-after-unless.1715121/
この文章は、「学校のクラスは過密になるだろう。ただ出生率が上がらない場合は例外だけど。」という意味です。
つまり、出生率が上がれば学校のクラスが過密になる(子供が多くなる→学校のクラスが過密になる)という意味です。
さて、このunless節をif の文章に書き換えるとどうなるでしょう(unless節は否定文になっているので、if以下は肯定文になりますね)
Classes will be overcrowded if the birth rate increases.
https://forum.wordreference.com/threads/negative-form-after-unless.1715121/
この文章は「もし出生率が上がれば、学校のクラスは過密になる」という意味です。
このunlessの文章とifの文章は同じようで、実は意味が異なるのです。どういうことでしょうか?
Unlessの文章もifの文章も「出生率が上がれば、学校のクラスが過密になる」という意味を表します。
ただunlessの文章をより正確に解釈すると「学校のクラスは過密になるだろう。出生率が上がらない場合だけは例外だけど。」 という意味になります。
これはつまり、学校のクラスはいずれ過密になる、唯一過密にならない可能性があるのは「出生率が上がらない場合」のみ、という意味です。つまり必然的に「学校のクラスはいずれ過密になる」のですが、唯一の例外が「出生率が上がらない場合」で、出生率が上がらない場合のみに限って、学校のクラスが過密にならないのです。
それに対して、ifの文章は単なる「仮定」を表します。
「出生率が上がれば、学校のクラスが過密になる」という因果関係を表しているだけです。
この場合は、他の要因(学校の数が少なくなる、海外から移民がたくさん来るなど)によっても「学校のクラスが過密になる」可能性はあります。その中の1つの因果関係として、「出生率が上がる」ということが示されているだけなのです。
unlessの文章は「出生率が上がらない場合を除いて、100%学校のクラスが過密になる」という意味を表す点で、単に「出生率が上がれば学校のクラスは過密になる」という因果関係の1つの可能性を表すif文とは違うのですね。
さいごに
unlessは日本語で理解すると難しいですが、感覚的に理解すると(「例外」というイメージ)とても簡単に理解できるものの1つです。
英語の語順は日本語と違うので、最初はなかなか理解しにくいと思いますが、日本語訳に頼らず常に「例外」という感覚を意識すれば、とても簡単に理解できるようになります。
このように自分の感覚として理解できた単語や文法は、リーディングやリスニングだけではなく、ライティングやスピーキングにも役立つ知識となります。
是非例文をしっかり読んで、「例外」という感覚をつかんでいただければ嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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