命令文は動詞を前に置くだけと思っていませんか?実は、命令文に主語がついたり、"Do+動詞"という形になったりすることがあるのです。この記事では、命令文の基礎から応用、そして実際に会話の中で使える命令文の表現も交えて解説していきます。
目次
命令文の基礎
まずは、命令文の基礎(命令文の型と、意味)を解説していきます。
この基礎をしっかり理解しておくことで、応用も身に着けられるようになるので、覚えていきましょう!
命令文とは?
命令文(imperative mood)とは、相手に対して行為を促したり、要求をしたりするときに使う文です。
日本語で「命令」というと、力を持って相手に対して何らかの行為を促すというきついニュアンスがありますよね。「命令文」は、そのような強い意味だけを表さないということを理解しておくことが重要です。
命令文を学習する前に、この命令文のトーンや言い方、状況によって相手が受け取るニュアンスは変わるということを理解しておくことが重要です。
例えば、お母さんが子供に対して強い口調で「この野菜食べて!」というのと、おいしい野菜をすすめる意図で「この野菜食べて!」というのは全然違いますよね。
前者は「栄養があるから食べなさい!」という命令なのに対して、後者は「この野菜食べてみて!」と勧めているようなニュアンスですね。ただどちらも相手に行為を促していることには変わりありません。
このように、「命令」文とはいえど、トーンや言い方で相手の受け取り方が変わるんだということを理解しておきましょう。
命令文の型
さて、では命令文が英語においてどのような型になるかをみましょう。
命令文には「~しなさい」といった肯定の命令文と、「~するな」といった否定の命令文があります。
さらに、be動詞を使った命令文と、一般動詞を使った命令文があります。
この組み合わせによって、命令文の型が次のようになります。
例文を見て、実際にこの表のとおりになっていることを確認しましょう。
◆Be動詞を使った、肯定の命令文
Be quiet!(静かに!)
Be cool.(落ち着いててね、冷静にね)
◆一般動詞を使った、肯定の命令文
Run!(走れ!)
Come home!(家に帰ってきて!)
◆Be動詞を使った、否定の命令文
Don't be mad.(怒らないで)
Don't be late. (遅くならないでね)
◆一般動詞を使った、否定の命令文
Don't lie to me!(私に噓をつかないで!)
Don’t buy the bag!(そのカバンは買わないで!)
特にbe動詞の否定の命令文(Don't be~)の形は、初めは少し違和感があると思いますが、これはこういうものとして覚えておきましょう。
命令文の表す意味
次に、命令文の意味を説明します。
ここでは説明のために意味を分類していますが、初めにも説明した通り重要なのはトーンや言い方によって意味が変わるということです。
そのためあまり区別・分類にとらわれすぎないようにすることが大事です。「相手に行為を促す、または相手に行為をしないように促す」という一番大事な部分を念頭に置いて、理解していきましょう。
1.命令
まずは「命令」です。命令文という名前から一番しっくりくる意味ですね。
これは相手に対して「~しろ」「~するな」という命令を下すイメージです。
例文を見ましょう。
Close the window right now!
今すぐ窓を閉めろ!
Don't open the box!
その箱を開けるな!
Don’t be so childish!
そんな子供じみるな!(子供みたいな振る舞いをするな)
どれも相手に対して(力や権力を背景に)何かをする(もしくはしない)よう強く言いつけていますね。
2.指示
命令文は相手に指示を出すときにも使われます。
命令とも似ていますが、指示と命令は少しニュアンスが違います。命令は「~しなさい」と従わせるのに対して、指示はある物事のやり方などを示したり、何をすればよいかを示すのですね。例文を見てみましょう。
Turn left at the post office.
その郵便局を左に曲がってください。
Read the first chapter of this textbook.
この教科書の第1チャプターを読んでください。
これらは、「~しろ!」という命令(何が何でも聞かないといけないような命令)というニュアンスではありません。
命令よりも少し強制力が低いのが分かるかなと思います。もちろん状況や言い方によってはこれも命令になる(「絶対にその郵便局を左に曲がれ!」という場合など)のですが、少し強制力の低い指示を表す場合にも命令文は使われます。
3.アドバイス・注意
命令文はアドバイスや注意も表せます。これは「~したほうが良いよ」「~しないように注意してね」といったことです。
例文を見てみましょう。
Be careful. There still may be a big bear nearby.
気を付けたほうが良いよ。まだ近くに大きいクマがいるかもしれないから。
Don't forget to send the letter to him.
これらの手紙を彼に送るのを忘れないように(注意)してね。
これらは、相手に対して「~しろ」という命令をしているのでも、「~してね」という指示をしているのでもありません。
相手に対して、「こうしたほうがいいよ」「こうしないように注意してね」というように行動を促しているのですね。
命令ではなく、このように相手に注意喚起をする時にも命令文は使えるのです。
4.勧める・勧誘する
「是非~してね」という勧誘の意味も命令文で表せます。
例文を見てみましょう。
Join me for dinner.
夕食を一緒に食べましょう。
Stay here!
ここに残ってよ!
このように、「~しなさい」という意味ではなく、「是非~してよ!」という勧誘の意味も表すことができるのです。
Pleaseを付けて丁寧な表現にする
命令文には、文頭や文末に "please"をつけて、少し丁寧でやわらかい表現にすることができます。
日本語訳ではあえて敬語にしていますが、敬語の感覚とは少し違う場合もあることも認識しておきましょう。
例えば、「お願いだから…!」というように懇願するニュアンスも、pleaseを付けることで表すこともできます。
例文を見てみましょう。
Please take a seat.
席にお座りください。
Please be quiet.
静かにしてください。
Please don't go.
行かないでください。
Please don't be so shy.
お願いだからそんなに恥ずかしがらないで。
このように、pleaseを付けることで丁寧な表現にしたり、懇願しているニュアンスを付け加えることができます。
これも、実際のトーンや言い方次第で、意味やニュアンスが変わります。
命令文についての注意
実際の会話の中では、命令文だけではなく他の丁寧な表現(Will you~? Can you~?など)で、命令文と同じ意味を表すことも多いです。
基本的に命令文は強めの表現になってしまうので、同じ意味でより丁寧な意味を表せる表現があれば、そちらを使うようにした方が無難です。
もちろん、気の置けない友達の間では命令文を使ってコミュニケーションをとっても全く問題ありませんが、ビジネスや丁寧な会話を求められる場面では、慣れるまではできるだけ丁寧な表現を心がけるようにしたほうがよいです。
命令文の応用
上で解説した基礎知識をもとに、実際に会話などで使われる表現を含めた、命令文の応用表現を学んでいきます。
1.Do+命令文
まずは、命令文(一般動詞の肯定の命令文)に、Doをつける表現を紹介します。
Doを付けることで、命令文の意味を強調したり、いら立ちを表したり、丁寧な表現にしたりすることができます。
例文を見てみましょう。
Do have a seat.
どうぞ座ってください。
これは、単に"Take a seat"と言う場合に比べて、より「是非、どうぞ」という強調の意味が加わるニュアンスです。
より丁寧な響きも加わります。
Do try to keep it down.
本当に、静かにしてください。
*keep it down: 静かにする
こちらも、単に「静かにしてください」というだけではなく、doを付けることで、より強調して苦情を言うようなニュアンスになります。
2.主語を付ける場合
命令文は動詞から始めると解説しましたが、意味を強調するために主語を付ける場合があります。
こちらもよく日常会話で聞く表現なので、覚えておきましょう。
2人称(Youなど)の主語が付け加えられる場合
まずは、"You"という主語が加えられる場合です。基本的に命令文は相手(You)に対して使う表現です。そのためあえてYouを付けることで、「あなたが~してください」と強調することや、命令文の意味自体を強調することができます。
ただ、語順は次のように注意する必要があります。
まずは例文を見ましょう。
◆Be動詞を使った、肯定の命令文
You be careful!
(あなた、気をつけるんだよ!)
◆一般動詞を使った、肯定の命令文
You take her home.
あなたが彼女を家に連れて帰ってね。
◆be動詞を使った、否定の命令文
Don’t you be so upset.
そんなに怒らないで。
◆一般動詞を使った、肯定の命令文
Don’t you talk to me like that!
そんな風に私に向かって話すな!
少し変わった形になりますが、こちらも覚えるしかないので、慣れましょう。
2人称の主語を付けることで、命令の強調と、「あなたが~してね」という相手の強調をすることができます。
命令の強調
You be careful!
(あなた、気をつけるんだよ!)
Don’t you be so worried.
そんなに心配しないで。
これらは、単に「~して」「~しないで」という命令を、より強調しています。
日本語には必ずしも訳されませんが、「本当に、絶対に」といった強いニュアンスが加わります。
「あなたが」という主体の強調
また、「あなたが(は)~してね」という主体の協調をすることもできます。
Alright, Bob, you do the dishes, and Mike, you clean the room.
じゃあ、Bob、あなたはお皿を洗って、そしてMike、あなたは部屋を掃除してね。
これは、一人一人を指して、「あなたはこうしてね」「あなたはこうしてね」というように分担していますね。この場合、「あなたは」という部分を強調する場合があります。
もう1つ見てみましょう。
Joe: Hey, can you cook lunch?
Joe: ねえ、昼食作ってくれる?
Catherine: No, you cook lunch.
Catherine: いや、あなたが作って。
こちらも「あなたが」という部分を強調していますね。
このように強調するために2人称の主語を入れる場合は、会話するときに"you"という言葉自体を強調することが多いです。
someone/everyone/no oneを付ける場合
命令文の主語として他にも someone/everyone/no oneなどを付けることができます。
それぞれどのような意味になるか見てみましょう。
someone(somebody)+命令文(肯定):誰か~して!
everyone(everybody)+命令文:みんな~して!
no one(nobody)+命令文(肯定):誰も~するな!
例文を見てみます。
Someone bring the cup!!
誰かそのコップを持ってきて!!
Everyone sing with me!
全員私と一緒に歌って!
No one move!
誰も動くな!
このように、命令文に someone/everyone/no one などを付け加えることで、より幅広い表現ができるのですね。
3.Just + 命令文
命令文にjustを付けると、命令を強調することができます。「とにかく~して!」というようなニュアンスになります。
例文を見てみましょう。
Just shut up and study.
とにかく黙って勉強しなさい。
Just go home.
いいから家に帰って。
Justを付けると、「とにかく」「いいから」「つべこべいわず」「こうするだけでいいから」というように、強調された命令を表すことができます。
4.Always/Neverを付ける場合
最後に、alwaysを使って「いつも必ず~しなさい」という意味を表す命令文と、neverを使って「絶対(決して)~するな」という強い禁止を表す命令文を説明します。
例文を見てみましょう。
Always speak politely to your boss.
あなたの上司にはいつも必ず丁寧に話すようにしなさい。
Never come to my house.
私の家には二度と来るな。
命令がより強い表現になっていますね。
次のような表現を使って、neverの命令文をより強くすることもできます。
Never ever come to my house! Do you understand me?
絶対に二度と私の家に来るんじゃない。分かったか?
Never eat my cookies again!
もう絶対に私のクッキーを食べるんじゃない!
さいごに
命令文は一見簡単そうですが、いろいろなバリエーションがあったり、トーンや言い方でニュアンスが全然異なったりするので、奥が深く難しいです。
映画やドラマで、実際に命令文がどう使われるかを意識して聞くだけでも、ニュアンスがだんだんと分かってきます。命令文は特に状況や話し手の言い方によって意味が変わるので、是非実際に使われている命令文に多くふれて、感覚を付けていってくださいね!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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