使役動詞とは何でしょうか。使役動詞とは「自分が他の人に何かをさせる・してもらう」をという意味を表す特殊な動詞です。使役動詞のイメージと使い方、それぞれの意味と特徴を解説します。
この記事では基礎となる使役動詞のイメージと使い方から、それぞれの使役動詞の意味とニュアンス、違いなどを詳しく説明します。
目次
イメージ
使役動詞のイメージ
使役動詞(Causative Verb)のイメージは、「自分がある行為をするのではなく、他の人やモノに働きかけて、何かをさせる」ということです。
自分が他の人やモノに働きかけて、その人やモノに何かをさせたり、その人や物をある状態にする。
これが使役動詞に共通するイメージです。
まずは感覚を理解するため、英語の解説をする前に日本語の文章を見てみましょう。
まずは日本語で使役動詞のイメージを理解しよう
①私がこの資料を彼にコピーさせるよ。
主語である「私」が実際にコピーするのではないですね。「私」が「彼」に働きかけて、「彼」がコピーするのです。
②私がお母さんに頼んで、タブレットを買ってもらうよ。
こちらも主語である「私」が買うのではなく、「私」が「お母さん」に働きかけて、「お母さん」がタブレットを買うのです。
③お父さんは、私が夜更かしさせてくれた。
主語である「お父さん」が夜更かしするのではなく、「お父さん」が「私」に働きかけて(許しを出して)、「私」が夜更かしします。
④私は明日、自転車を修理してもらうんだ。
主語である「私」が修理するのではなく、「私」が「他の人(修理屋など)」に働きかけて、「 他の人(修理屋など) 」が自転車を修理しますね。ここでは①~③のように働きかける相手は明言されていませんが、誰かに「自転車が直った状態」にしてもらうのです。
さて、使役動詞のイメージがつかめたところで、実際に英語の型を見ていきましょう。
使役動詞を使った文章の型
なぜ使役動詞という動詞を特別に覚えることが重要なのでしょうか。それは、英語において「他の人や物に働きかけて何かをさせる」ということを表すとき、特別な型の文章を使う必要があるからです。
そのため、使役動詞を使った文章を取り上げて、どのような形を使って表現するのかを覚える必要があります。
また、使役動詞(make, let, have, get, help)はそれぞれ意味やニュアンスが異なるので、使い方も異なります。
使役動詞を使った文章の型は次の通りです。
例文を見ましょう。ここではまだ意味は分からなくてOKなので、「型」を意識してみてください。
※p.p. = past participle(過去分詞形)
◆make
I made him do my homework.
My mom makes me study every day.
◆let
My mom let me stay up late.
I won't let my kids read this book.
◆have
[have+O+do]
I will have him print out this document.
I will have my sister cook.
[have+O+p.p]
I had my bike fixed.
I had my room cleaned yesterday.
◆get
[get+O+to do]
I will get her to wash all the dishes.
She got her brother to take the cat to the hospital.
[get+O+p.p.]
I got my house painted red.
I got my teeth whitened.
◆help
[help+O+do]
My dad helped me wash my car.
I helped my friend clean the entire house.
[help+O+to do]
My roommate will help me to pack.
My brother helped me to solve the puzzle.
make 強制的に「~させる」
使役動詞makeは、誰かに強制的に何かをさせるという意味です。
強制と言うよりは、「何らかの方法で、その行為をする以外の選択肢をなくさせる」という意味でとらえると良いです。理由は後で説明します。
My mom makes me study every day.
「私の母」は「私」に働きかけて、強制的に毎日勉強させるということですね。これは、無理やり机に座らせてペンを持たせるように、宿題をする以外の選択を与えない、宿題をするしかない状況にするという意味ですね。
I made him do my homework.
私は彼に、私の宿題をさせた。
「私」は「彼」に働きかけて、無理やり私の宿題をさせたという意味です。こちらも、私が彼に対して、何らかの方法で宿題をするしかない状況にさせるという意味です。
I stayed at my girlfriend's apartment, and she made me pay her rent.
私は彼女の部屋に泊まったが、彼女は私に家賃を払わせた。
こちらも同様、「彼女」が「私」に働きかけて、強制的に家賃を払わせたということ。これも私が家賃を払うしかない状況にさせたということです。
ここまでは「強制」という感じがありました。もう1つ次の文章を見てみましょう。
The movie always makes me cry.
その映画はいつも私を泣かせる。
これは映画を観ると、私はいつも泣いてしまうという意味ですね。
これも映画を観ることで、私が泣かざるを得ない状況に置かれるという意味です。映画を観ると毎回泣かされるという意味ですね。
使役動詞makeの受動態
何かを強制させられる、「~させられる」というのは"be made to"という表現になります。
先ほどの文章ではmake+O+do(動詞の原形)という形でした。
受動態になるとbe made to doという表現になりますので、注意が必要です。
I was made to show my ID.
私は身分証明書を見せさせられた。
受動態なので、「私」が働きかけられて、身分証明書を見せるよう強制させられるという意味です。
She was made to clean her brother's room.
彼女は、彼女の兄の部屋を掃除させられた。
形は同じですね。「彼女」が働きかけられて、彼女の兄の部屋を掃除するように強制させられたということです。
let 許可を出して「~させる」
letは、許可を出すなどをして「~させる」という意味を表します。
ポイントは、"~してもいいよ"と明確に許可を出すだけではなく、ある状況を許す(何もしないで、ある状況のあるがままにさせる)という意味も表せます。
例文を見てみましょう。
My mom let me stay up late.
私の母は、私に夜更かしさせてくれた。
「私の母」が「私」に働きかけて、夜更かしさせてくれたという意味ですね。
ちなみに、「させてくれた」と過去形になっているのは、"My mom lets"と3単現のsがついていないからですね。現在形であればsがつくはずなので、これは過去形だと判断できます。
I don't let my kids read this book.
私は、私の子供にこの本を読ませない。
こちらは否定文です。「私」は「子供たち」に本を読む許可を与えないということです。
「子供たち」にそういった働きかけをしない(許可を与えない)という意味を表します。
have 依頼などをして「~させる、~してもらう」
使役動詞 haveは、人に頼むなどをして「~させる、~してもらう」という意味を表します。
have+O+do
makeは強制して無理やりに何かをさせるという意味なのに対して、haveは頼んで「~してもらう」という意味を表します。この頼む相手は、それをすることに対して特に反対をすることがないという感覚があります。
例文を見てみましょう。
I will have my assistant print out this document.
私はアシスタントに、この資料をプリントアウトしてもらうよ。
これは「私」が「私のアシスタント」に働きかけて(依頼をして)、資料をプリントアウトしてもらうという意味です。
I will have my sister cook.
私は、姉に料理をしらうよう頼むよ。
こちらも依頼をしています。「私」が「私の姉」に働きかけて(依頼をして)、料理をしてもらうということですね。
have+O+p.p.(過去分詞形)
こちらは、目的語をある状態にしてもらうという意味を表します。
これも依頼や、サービスとして他の人にやってもらうというニュアンスを持ちます。
I had my bike fixed.
私は私の自転車を修理してもらった。
この文章は、「私」が誰かに「自転車」を修理してもらうという意味を持ちます。
より忠実に訳せば、「私は自転車を修理された状態にしてもらった」と言う意味です。
自転車は修理「される」ので、受動態になっています。
誰かに頼んで修理してもらったか、修理屋にもっていって修理してもらったのか、とにかく誰かに修理してもらったということです。
反対に次のような文章にする場合、自分で修理するという意味を持ちます。
I fixed my bike.
私は自分の自転車を修理した。
もう1つ例文を見てみましょう。
I had my room cleaned yesterday.
私は昨日部屋を掃除してもらった。
こちらも自分が掃除したのではなく、誰かに部屋を掃除をしてもらったということですね。
私が掃除した場合、haveを使わず次のような文章にします。
I cleaned my room yesterday.
私は昨日部屋を掃除した。
get 説得してなんとか「~させる、~してもらう」
使役動詞getは、説得してなんとか~してもらうという意味です。
haveは依頼して何かをしてもらうという意味でしたが、getを使うと説得して何とかやってもらうという大変なニュアンスが増します。
I will get her to wash all the dishes.
私は彼女に頼んで、なんとかお皿を全部洗ってもらうよ。
getを使う場合は、このようにtoが必要になるということに注意です。
この文章をhaveで書き換えてみましょう。
I will have her wash all the dishes.
私は彼女にお皿を全部洗ってもらうよ。
こちらの方が、頼めばすんなり洗ってもらえる感じがします。いやだと拒否される可能性はgetよりも低いです。
She got her brother to take the cat to the hospital.
彼女は兄に頼んで、なんとかそのネコを病院に連れて行ってもらった。
こちらも「説得してやってもらう」というニュアンスがあります。「彼女」が「兄」を説得して、なんとかネコを病院に連れて行ってもらうという意味です。
get+O+p.p.(過去分詞形)
こちらはhaveと同様、何かを依頼したりサービスとしてやってもらうという意味です。
意味自体に違いはあまりありませんが、getの方が少しインフォーマルな感じがあり、haveの方が少しフォーマルな感じがします。
I got my house painted red.
私は家を赤色に塗ってもらった。
haveと同様、家を誰かに(業者など)塗ってもらったという意味ですね。
I got my teeth whitened.
私は歯をホワイトニングしてもらった。
自分自身がする場合のget+O+p.p.
先ほどは「依頼して、またはサービスとしてお金を払って何かをやってもらう」という意味を表すと説明しました。
ただ、自分自身で何かをある状態にするという意味も表すことができます。
「依頼してやってもらう」のか、それとも「自分でやる」のかは、文脈から判断する必要があります。
I have to get the job done by tomorrow.
私は明日までにその仕事を終わらせなければならない。
これは「自分で仕事を終わらせる」という意味です。次の文章と同じ意味を表します。
I have to finish the job by tomorrow.
私は明日までにその仕事を終わらせなければならない。
help 「助ける、手伝う」
helpは、誰かがなにかをするのを手伝う、助けるという意味です。
例文を見てみましょう。
My dad helped me wash my car.
私のお父さんは、私が車を洗うのを手伝ってくれた。
I helped my friend clean the entire house.
私は、私の友達が家全体を掃除するのを手伝った。
こちらは簡単ですね。
helpは、「help+O+to do」という形でも使えるのでしたね。
My roommate will help me to pack.
私のルームメイトが荷造りするのを手伝ってくれた。
My brother helped me to solve the puzzle.
私の兄は、私がそのパズルを解くのを手伝ってくれた。
ただ、help+O+doの型がより一般的なので、「この形でも使えるんだ」ということを頭の片隅に置いておいておけばOKです。
さいごに
使役動詞は少し型が特殊ですが、意味と使い方を覚えればあとは慣れるだけです。
日本語訳ではなく、この記事で解説したイメージで覚えるようにしましょう。 英語は語順で意味が決まる言語です。 英語を読むときも、日本語に訳して理解するのではなく、誰が誰に働きかけたのか、という関係性を意識して理解するようにしましょう。
この記事で、使役動詞のイメージと使い方を理解していただけたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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