この記事では、動名詞の解説をします。
動名詞は簡単なのですが、to不定詞の違いなどが分かりにくいです。この記事は次のような悩みを持つ方に向けて書きました。
- 動名詞自体がどういうものか理解できていない
- 動名詞とto不定詞の意味の違いが分からない
では、さっそく解説していきましょう。
目次
ポイント
①動名詞は、動詞にingを付けて名詞化したもので、「~すること」を意味する
②動名詞は、名詞と同じように使うことができる
③to不定詞と動名詞の違いは一概に説明できず、「おかれる位置」によって変化するため、それぞれの場合について理解する必要がある
この記事では、これらをより詳しく理解します。
動名詞の意味と使い方
動名詞とは、動詞を名詞にしたものです。
「動詞を名詞にする」とは、例えば次のようなことを指します。
動詞 ⇒ 動名詞
運動する ⇒ 運動すること
読む ⇒ 読むこと
食べる ⇒ 食べること
このように、「~する」という動作を表す動詞を、「モノ・こと」を表す名詞に変えるということです。
では、動名詞はどうすれば作れるのでしょうか。実は簡単なのです。
動名詞の作り方は、動詞をing形にするだけです。実際に見てみましょう。
動詞 ⇒ 動名詞
excersice ⇒ excersicing
read ⇒ reading
eat ⇒ eating
これで、それぞれの動詞を「~すること」という名詞にすることができるのです。
まとめると、こうなります。
そして、この動名詞は「名詞」のように扱うことができます。
例文を見て、動名詞の理解をより深めましょう。
動名詞を使った例文
注目ポイントは、「名詞と同じ使われ方をしている」ということです。
【名詞】
I love cats.
私は猫が大好きだ。
【動名詞】
I love playing chess.
私はチェスをすることが大好きだ。
【名詞】
This game is fun.
このゲームは楽しい。
【動名詞】
Reading books is fun.
本を読むことは楽しい。
【名詞】
This quiz is difficult.
このクイズは難しい。
【動名詞】
Learning English is difficult.
英語を学習することは難しい。
【名詞】
Dietary supplements help you stay healthy.
栄養補助食品は、 健康でいられる手助けをする。
【動名詞】
Eating vegetables helps you stay healthy.
野菜を食べることは、健康でいられる手助けをする。
*dietary supplement: 栄養補助食品
*help A do: Aが~する手助けをする
このように、名詞が入ることのできる場所に、動名詞も入ることができるようになります。
動名詞にすることで、より色んな表現ができるようになります。
動名詞とto不定詞の違い
さて、多くの人がつまづくのが「動名詞とto不定詞(名詞的用法)」の違いです。
to不定詞が分からん!という方は、こちらに解説を載せていますので、ご覧になってください。
動名詞とto不定詞の違いを理解するには、いくつかポイントがあります。
◆動名詞とto不定詞の違いのポイント
①ある動詞の目的語として使う場合、その動詞によって、下記のパターンがある
・どちらを使うかが決まっているもの
・どちらを使うかで意味が異なるもの
・どちらを使ってもあまり意味が変わらないもの
②ある動詞の目的語にならない場合、基本的にはどちらでもよい(強いて言えば動名詞は「具体的」、to不定詞は「一般的・抽象的」なニュアンスだが、人や状況によってこの感覚は異なる)
では、ポイントごとに解説していきます。
①動詞の目的語になる場合の違い
「動名詞が動詞の目的語になる」とは次のようなことを指します。
この時、動名詞やto不定詞の前に置かれている「動詞」によって、to不定詞を使うべきか、動名詞を使うべきか、はたまたどっちでもいいのかが変わるのです。
目的語に「動名詞」しかとらない動詞
次の動詞は、目的語に動名詞を使わなければなりません(他にもたくさんあります)。
enjoy doing ~することを楽しむ
finish doing ~することを終える
admit doing ~したことを認める
keep doing ~し続ける
advice doing ~することを助言する
※「<人>に~するよう助言する」という場合は、advice <someone> to doとなる
avoid doing ~することを避ける
mind doing ~することを気にする
これらの動詞は、「~すること」を目的語にする場合、必ず動名詞にする必要があります。
to不定詞を目的語にとる動詞
逆に、次の動詞は目的語にto不定詞を使わなければなりません。
agree to do ~することに賛成する
choose to do ~することを選択する
decide to do ~することを決める
hesitate to do ~することをためらう
need to do ~する必要がある(~することを必要とする)
pretend to do ~するふりをする
refuse to do ~することを拒否する
動名詞・to不定詞の両方を目的語にとれる(かつ意味があまり変化しない)動詞
次の動詞は、どちらでも目的語にとることができます。
continue doing/to do ~し続ける
start doing/to do ~し始める
like doing/to do ~することが好き
prefer doing/to do ~するほうが好き
ただ、doingとto doで少しニュアンスが異なる場合もあります(全然意味が違うということではなく、ほんの少しだけの違いです)。
例えば、doingはより具体的、to doはより抽象的というニュアンスがあります。
I like watching soccer games.
サッカーの試合を観戦することが好き。
I like to watch soccer games.
サッカーの試合を観戦することが好き。
watchingの方は、「サッカーを見る」という具体的な行為、プロセス、経験が好きという感じ、to doの方はより一般的・抽象的に「サッカーを見る」ということが好きという感じがします。
ただ、個人的にはどちらを使ってもそれほど意味は違わないので、初めはそんなに気にする必要はないと思います。いろいろな文章に触れていくうちに、「こっちはこういう感じがするなぁ」という感覚が醸成されていきます。
◆コラム 「to不定詞は未来、動名詞は過去」という覚え方は適切か?
動詞が未来志向だったらto不定詞、過去志向だったら動名詞と覚えよう!と説明する人がいます(例:plan「計画する」は未来について計画するからto 不定詞、admit「認める」は過去したことを認めるんだから動名詞、など)。
ここで一旦、この説明がすべてに当てはまるのかどうか考えてみましょう。
次に見る通り、結論この覚え方は一部の動詞についてしか説明できないです。
確かに、to不定詞をとる動詞には、「(これからすることを)計画する」 「(これからすることを)ためらう」「(これからすることを)決める」というように「未来」に関する動詞が多いですね。
反対に、「(過去からしてきたこと)を終える」、「(過去にしたこと)を認める」のように、過去から始めたことについての動詞が多そうです。
ですが、次の動詞はいかがでしょうか。
◆advice 「~することを助言する、アドバイスする」
The teacher adviced reading the book.
その先生は、その本を読むことを(読むように)アドバイスした。
これは「(未来に~すること)を助言する」という意味ですよね。
「未来」はto不定詞、「過去」は動名詞という理論でいけば、to不定詞を使うことになりますが、adviceは「動名詞」を目的語にとるのです。
◆avoid 「~することを避ける」
I avoided meeting him.
私は彼に会うことを避けた。
これも、「(未来に~すること)を避ける」という意味です。
これも、avoid to do となりそうですが、avoid doingが正しいです。
このように、このルールが絶対に当てはまるということはありません。なので、ルールは「ある程度」しか通用しないのだということを認識しておき、ちゃんと1つ1つ丁寧に調べて覚えていくことが重要です。
言語を学習する上で、「この場合は絶対にこう!」といった、「綺麗に100%説明がつく」場合は要注意です。ことばは曖昧なものです。必ず例外があり、それはそういうものとして覚えることも英語の上達のためには重要です。
動名詞・to不定詞どちらが後に来るかで意味が異なる動詞
次に、動名詞とto不定詞の両方を目的語にとることができるものの、意味がそれぞれ異なる場合です。
この場合はほとんど、「to不定詞」を使う場合は「未来志向(これからのことについて述べる)」、「動名詞」を使う場合は「過去志向(過去のことについて述べる)」というのが当てはまります(これも100%どの動詞にも当てはまるルールではないので、要注意です)。
remember
remember to do ~することを覚えている
remember doing ~したことを覚えている
例文を見てみましょう。
Remember to turn off the lights before you leave.
ここを離れる前に電気を消すことを覚えておいてね。
これは、「(未来に)~することを覚えている」という意味ですね。ここでは、to不定詞が「未来志向」となっています。
I remember turning off the lights before I left.
ここを離れる前に電気を消したことを覚えている。
これは逆に「(過去に)~したことを覚えている」という意味です。動名詞が「過去志向」となっていますね。
stop
stop to do ~するために立ち止まる(今やっていることを止める)
stop doing ~することをやめる
これも例文を見てみましょう。
I stopped to smoke.
タバコを吸うために立ち止まった。
この場合は、まず"I stopped(立ち止まった)"、そして”to smoke(タバコを吸うために)"という風に分けられます。
なので、厳密にはこの"to smoke"は"stop"の目的語ではないですね。
I stopped smoking.
私はタバコを吸うことをやめた。
このように動名詞をつかうことで、初めて「~することをやめる」という意味になります。
regret
regret to do ~することを残念に思う、残念ながら~する
regret doing ~したことを後悔する
例文を見てみましょう。
I regret to let you know that you didn't pass the exam.
残念ながら、あなたが試験に合格しなかったとお知らせします。
これは、「これから~することを残念に思う」という意味ですね。未来志向です。
I regret letting you know that you didn't pass the exam.
あなたが試験に合格しなかったとお知らせしたことを後悔しています。
これは、「過去に~したことを後悔する」という意味で、過去志向です。
このように、to不定詞と動名詞を使うことで意味が変わってしまう動詞もあるので、どちらを使うかを注意しなければなりません。
②動詞の目的語にならない場合の区別
基本的に、①で解説したように目的語としてどっちのほうが適切、といった決まりがない場合は、どちらを使っても問題ないです。
「目的語にならない場合」は、主語や補語になる場合を指します。
例①
My goal is to become an astronaut.
私の目標は、宇宙飛行士になることです。
My goal is becoming an astronaut.
私の目標は、宇宙飛行士になることです。
この場合は、to不定詞を使う方が個人的には自然な感じがします。ただ、ネイティブスピーカーが下の文章のように動名詞を使っているのを聞いたこともあるので、厳密にこっちじゃないとダメ!ということはないと思います。
下のように主語と補語をひっくり返せば、動名詞を使って全く違和感はないです(逆にto不定詞を使う方が少し不自然な感じがします)。
Becoming an astronaut is my goal.
宇宙飛行士になることが私の目標だ。
To become an astronaut is my goal.(不自然な感じ…)
宇宙飛行士になることが私の目標だ。
こっちの文章では、"To become an astronaut"と言われると「宇宙飛行士になるということは・・・」というような一般的・抽象的な感じがするので、少し変な感じがします。
ただあくまでもこの違和感は私個人のもので、人によっては「どっちでも同じ!」という人はいると思います。
例②
To play soccer is fun.
サッカーをすることは楽しい。
Playing soccer is fun.
サッカーをすることは楽しい。
これも、"Playing soccer is fun."としても、違和感はありません。どちらも、「サッカーをすることは」という意味になります。
少しニュアンスが違うとすれば、下の方がより「いきいきとしている」「具体的」という印象があります。to不定詞の方は抽象的な感じ(「サッカーをすることは楽しいものだ」というような一般論の感じ)がします。それに対して動名詞を使うと、「サッカーをするって楽しい!」という具体的で経験に基づくようなイメージがあります。
これも、文脈や人によって感じ方は変わると思うので、それほど大きな差異はないととらえて問題はないと思います。
さいごに
いかがでしたか?
動名詞の解説、そしてto不定詞と動名詞の違いと、かなり複雑だったと思います。
上達のコツは、「ある程度はそういうものとして覚える」ということです。言葉というのは、異なる人間がそれぞれ持つ認識によって組み立てられているものです。そのためきれいなルールが当てはまらないこともありますし、例外というものは普通なのですね。
なので、ある程度は「そのまま受け入れて覚える」ということを繰り返すことで、英語は上達していきます。そのように繰り返していくうちに、だんだんと感覚が分かるようになってきます。
学校や教科書では学べないような細かな違い、ニュアンスの違いも、反復することでつかめるようになってきます。
是非細かい点に執着せず、「そういうものとして覚える」ということも意識して勉強してみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!