受動態ということばを聞いたことはありますか?また、受動態の使い方、また受動態を使わない方がいい場合があるを知っていますか?
意外と日本人にとって受動態は簡単そうで難しく、正しく理解していないことで思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。
この記事では、そんな受動態について解説していきます。
この記事を読むことで、次のようなことが理解できます。
- 受動態の基本形と、受動態の使い方(例:肯定文・否定文・疑問文でどういう形になるか)
- 時制ごとの受動態の形(例:現在完了形の文章で、受動態はどういう形になるか)
- 受動態を使った方がいい場合と、使わない方がいい場合について
それでは、受動態について解説していきます。
最初に、受動態についての重要なポイントをまとめて載せておきます。これらのポイントについて、記事の中で詳しく解説していきます。
・ be動詞+過去分詞形が基本形。このbe動詞は、その前に来る単語によっていろいろに形が変化する。
・受動態は基本的に、行為の主体(動作する人・物)を明確に表現しない方がよい(表現できない)場合に使う。頭でっかちな文章を避けるために使われることもある。
・受動態を使わなくてよい場合は、極力能動態にして文章をシンプルに表現するほうが良い
目次
受動態とは?
受動態とは、「~される」といった、何らかの行為を受ける側が主体となる文章の形です。
これだと少しわかりにくいと思いますので、具体的に見てみましょう。
まず「ネコがサカナを食べている」という状況を想像してみましょう。
この状況は、次の2つの視点でとらえることができますね。
ネコ目線:魚を食べている。
サカナ目線:猫に食べられている。
このように受動態は、ある動作を受ける側(この場合食べられる側)にいるサカナ目線を表す表現なのです。
反対に、ネコ目線の文章(○○が~する)は、能動態と呼ばれます。
この違いは重要なので、しっかり理解しておきましょう。
受動態の型
基本形
受動態は、be動詞+過去分詞形という型を使います。また「誰によって」を表す "by" も一緒に使われることが多いです。
これをもとに、例文を見てみます。
◆受動態
The fish was eaten by the cat.
そのサカナは、そのネコに食べられた。
◆能動態
The cat ate the fish.
そのネコは、そのサカナを食べた。
受動態の文章では、「食べられる」サカナが主語に置かれていて、その後にbe動詞+過去分詞形が来ていますね。
また、「~によって」を表すbyも置かれています。
ちなみに、「誰によって」と言う必要がない場合は、by以下をつけません。
My wallet was stolen.
私の財布が盗まれた。
これが受動態の基本的な型ですので、覚えておきましょう。
否定文と疑問文についても例文を載せておきますので、それぞれの型と意味をしっかり確認しておきましょう。
◆肯定文
The room was cleaned by my mother.
その部屋は、私の母によって掃除された。
◆否定文
The room was not [wasn't] cleaned by my mother.
その部屋は、私の母によって掃除されなかった。
◆疑問文
Was the room cleaned by my mother?
その部屋は、私の母によって掃除されましたか?
◆疑問詞を使った疑問文
When was the room cleaned by my mother?
その部屋はいつ、私の母によって掃除されましたか?
時制と受動態
受動態は、be動詞+過去分詞形と解説しました。
受動態は、進行形や完了形など、いろんな文章と組み合わせることができますので、それぞれの文章で受動態がどういう形になるか見てみましょう。
※少し英文として不自然なものもありますが、ここではそれぞれの文章における受動態の形に注目してください。
時制 | 受動態を使った文章 | 訳 |
---|---|---|
現在形 | A book is written. | 本は書かれる。 |
現在進行形 | A book is being written. | 本は書かれているところだ。 |
過去形 | A book was written. | 本は書かれた。 |
過去進行形 | A book was being written. | 本は書かれているところだった。 |
未来形 | A book will be written. | 本は書かれるだろう。 |
未来進行形 | A book will be being written. | 本は書かれているところだろう。 |
現在完了形 | A book has been written. | 本は書かれた。 |
過去完了形 | A book had been written. | 本は(その時までには)書かれていた。 |
未来完了形 | A book will have been written. | 本は(その時までに)書かれているだろう。 |
このように、文章の種類(時制など)によって、be動詞+過去分詞形がいろいろに変化していますね。
基本的にはbe動詞の前にどういった単語が来るかで形が決まります。
例えば、助動詞の後は原形なので"be"が、完了形のhaveの後は過去分詞形なので、be動詞の過去分詞形の"been"が来る、などです。
このように、文章ごとのルールに合わせて形を変える必要があります(初めは複雑に感じるかもしれないですが、それぞれの文章を学習していけば慣れていきますので、1つ1つ覚えていきましょう!)
時制ごとの受動態の形や、その意味については、時制についての記事に記載するのでそちらをご覧いただければと思います。
群動詞を使う際の受動態
群動詞とは、複数語まとまって、動詞1つのような働きをするもののことです。
例を以下に挙げておきます。
◆look at : ~を見る
She looked at me and said "Hello."
彼女は私を見て、「こんにちは」といった。
◆bring up: ~を育てる
She brought up her five children on her own.
彼女は5人の子供を自身の手で育てた。
◆put off: ~を延期する
They decided to put off the ceremony.
彼らはセレモニーを延期する決断をした。
◆take care of: ~の世話をする
Could you take care of my plants this weekend?
今週末、私の植木の世話をしていただけませんか?
これらは、セットで1つの動詞のような役割をします。
受動態にする時も、これらはセットで使います。
◆look at : ~を見る
I was looked at by her.
私は彼女に見られた。
◆bring up: ~を育てる
The cat was brought up by a kind man.
そのネコは、親切な男性によって育てられた。
◆put off: ~を延期する
The ceremony was put off until November.
そのセレモニーは11月まで延期された。
◆take care of: ~の世話をする
The dog was taken care of by my neighbor.
その犬は、私の近所の人によって世話をされた。
少し変な感じがするかもしれませんが、ルールとして覚えておきましょう!
どういう時に受動態を使えばいい?
受動態は少し文章がくどくなってしまうので、使い時を気にする必要があります。
というのも、「ネコがサカナを食べた(能動態)」と、「サカナがネコによって食べられた(受動態)」を比べると能動態の方がシンプルで分かりやすいからです。
では、どのような場合に受動態が用いられるのかを見てみましょう。
①ある行為をする人(行為者)が、分からないとき
This ancient sculpture was made about 3,000 years ago.
この古代の彫刻は、約3,000年前に作られた。
誰が彫刻を作ったのかということは分からないという場合、このように受動態が使われます。
②ある行為をする人(行為者)が、重要ではないとき
A big supermarket will be built nearby next year.
来年、近くに大きなスーパーマーケットが建てられる予定だ。
この文章のように、特に「誰がスーパーマーケット」を立てるのかを明確に言う必要がなく、「スーパーが建てられる」という事実が伝われば十分な場合は、受動態が使われます。
また、「誰がしたのか」に言及する場合でも、「~された」物の方が重要なときは、受動態が使われます。
The law of gravity was first discovered by Issac Newton.
重力の法則は、はじめにアイザック・ニュートンによって発見された。
これは、「重力の法則」に焦点が当てられた文章になっています。
ちなみに、受動態を使えば「誰がしたのか」を書かなくてもよいので、政治などで「誰がしたのか」を曖昧にしたいときに、受動態をよく使ったりします。
③一般的な人々が主語になる場合
The tickets can be obtained from the shop.
そのチケットは、その店で手に入れられる。
このように、「一般的な人々」が主語になる場合にも、受動態が使われることがあります。
ただ、このように「一般的な人々」が主語になる場合は、"you"を使って能動態で書くことも可能です。
You can obtain the tickets from the shop.
そのチケットは、その店で手に入れることができる。
④長い主語を避けたい場合
英語は頭でっかちな文章を嫌うので、あえて受動態にすることで文章を分かりやすくすることもあります。
I was impressed by how well my students did on the English exam.
私の生徒がその英語のテストでどれだけ良くやったかに、感銘を受けた。
これをあえて能動態で書くと、次のようになります。
How well my students did on the English exam impressed me.
私の生徒がその英語のテストでどれだけ良くやったかが、私に感銘を与えた。
この文章では、青文字の部分が主語です。主語の部分がかなり長く、動詞と目的語が短いので頭でっかちになっていますね。
これよりも、受動態の文章のように"I was impressed by..."という風にした方がより分かりやすく、主語が長くなりすぎるのを防ぐことができます。
受動態は多用しないようにした方がよい
このように「~される」を表すことができる受動態ですが、使いすぎるのも良くありません。
受動態を使った方がよい場合を除いて、基本的に能動態で表現できる場合は能動態を用いたほうがよいです。
英語は「誰がしたのか」という行為の主体を明確に表現することを好む言語なので、受動態を使いすぎると少し不自然な文章になってしまうのです。また、受動態にすると文章が無駄に長くなってしまうので、能動態を使ったシンプルにした方が分かりやすい文章になるのです。
例えば、次の文章を見てみましょう。
I was taught English by my father.
私はお父さんから英語を教わった。
日本語を見れば自然ですが、英語を見ると少し不自然な感じがします。
この場合能動態にして、
My father taught me English.
私のお父さんが私に英語を教えた。
とするほうが自然なのです(日本語は少し不自然ですね)。
よく日本人は受動態をよく使うと言われますが、このように日本語では受動態で表現することも多いので(日本の文化が関係していると思いますが)、直訳するとどうしても受動態になってしまうのですね。
英語を話すときは、できるだけ能動態にして、文章をシンプルにするよう心がけましょう!
もちろん受動態の方が好ましい場合もあるので、この使い分けはいろんな文章に触れて身に着けていけばOKです。
おわりに
受動態は、少し複雑な形をしているので初めは慣れないと思います。
習得するのに効果的なのは、代表的な例文をおぼえて、受動態の型を完全に身に着けてしまうことです。
一度型を覚えれば、あとは単語を当てはめるだけなので、是非例文を覚えて自分なりの文章を作ってみることをおすすめします!
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